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ヘルツォーク委員会、社会保障改革案を発表

  キリスト教民主同盟CDUのヘルツォーク委員会は930日(火)、社会保障改革に関する報告書を発表した。この委員会は与党のリュールップ委員会に対抗するもので、人口統計上の要素を考慮し、就業世代が負担できる社会保障制度に改革することを勧告している。

ヘルツォーク前連邦大統領は、対応措置を講じなければ、保険料率は現在の(名目上の所得の)約42%から2030年には54%に上昇すると語った。そこで、社会保険料負担を現在の42%から長期的に40%以下に抑えるために、これまでの賦課方式(保険料収入が直ちに給付支出に充てられる)を積み立て方式で補充ないし代替することを提案している。

  ヘルツォーク委員会の主な改革提案は次の通り。

     2011年~2023年までに、年金受給年齢を65歳から67歳に引き上げる。但し、保険期間が45年以上の被保険者は63歳から満額の年金を受給できる。子供を養育する親が保険期間に加算できる児童養育期間を2倍にする(6年)。保険期間が30年以上の場合は、社会扶助を15%上回る「基礎年金」を受給できる。

     介護保険は2030年までに、賦課方式から積み立て方式に切り替える。移行期の財源確保のために、介護保険料率を現在の1,7%からから3,2%に引き上げる。2030年からは、20歳の新規被保険者は生涯、月額52ユーロの保険料を払わなければならない。保険加入時の年齢が高くなるにつれて、保険料も高くなる。

     2013年から、法定疾病保険料は、所得に応じた保険料ではなく、一律の保険料月額264ユーロとする。社会的調整のために、低所得者には国が税金で補助する。試算によると、国の補助金は1年当たり273億ユーロになる。

     歯の治療は法定疾病保険の給付リストから削除され、被用者自らが保険に加入しなければならない(保険料全額負担)。その代わり、疾病給付金の保険料は使用者が全額負担する。

     失業の最初の月の失業手当を25%ほど削減する。旧西独の雇用創出措置を廃止する。

 この任期中に年金・疾病・介護・失業保険の改革を実施するために、CDUも与党もそれぞれの委員会の報告書に基づいて改革案を具体化しなければならない。キリスト教社会同盟CSU10月ないし11月に独自の改革案を提示する計画である。CDU12月の党大会で最終的な社会保障改革コンセプトを決定する。

2003106日)

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