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2050年には要介護者が100万人以上

 連邦統計局のハーレン長官は107日(火)、「2003年度統計年鑑」発表の席上、急激な高齢化が深刻な問題をもたらすと警告した。2050年には、8590歳の約120万人が介護を必要とする(現状に基づき、この年齢層の市民の約40%が要介護と仮定した場合)という。高齢の要介護者数が3倍に増えることになる。ハーレン長官は、社会保障制度に及ぶ重大な影響を強調した。追加経費を必要とする要介護者が増えるだけでなく、社会保障制度を支える就業者数が減少するという高齢化は、就業者の移住を強化しても回避することはできないという。

 現在、ドイツの人口は8250万人であるが、その内の24%は60歳以上である。これが2050年には約37%に上昇する。就業可能な年齢層の人口は現在約5100万人であるが、この年齢層の人口は今後縮小していく。

 毎年約20万人がドイツに移住すれば、2020年までは就業可能年齢層の人口が安定していると予想される。しかし、昨年、ドイツに移住した市民は155000人であった。毎年20万人が移住すると仮定しても、社会保障制度を支える就業者数は2050年に4080万人に減少すると推定される。

 一方、出生率の低下と平均寿命の上昇の同時進行に伴い、社会が高齢化するだけでなく、人口も減少する。ドイツでは1972年以来、生まれてくる子供の数の方が死亡する人の数を下回っている。2002年は、出生件数が死亡件数を122000件下回ったが、2050年にはこの差が5倍になると、ハーレン長官は予想している。この状況は移住者の増加でも調整できないという。毎年30万人がドイツに移住すると仮定しても、人口構造はほとんど変わらない。

 また、ハーレン長官は、この試算に基づいて1300万人の外国人がドイツに移住した場合、ドイツ社会への吸収の問題があることを指摘している。2002年末現在、ドイツには730万人の外国人が住んでおり(人口全体の8,9%)、その大半はトルコ人である。

 2002年は国内の人口移動にも変化が見られた。1997年以来初めて、旧東独から旧西独へ移住した市民が前年よりも減少した。1990年以来、110万人のドイツ人が旧東独から旧西独に移住している。

2003年10月13日)

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