オバサンの独り言 チップは日本人にはなかなか馴染めないものだ。長年ドイツで生活しているけれど、いまだに、「いくらチップあげたらいいのかな」と考えることが多い。 ドイツでは、請求書に書いてある金額、メニューに書いてある金額を払えばよい。法律でそう決まっている。チップは任意であって、義務ではない。サービスに対する感謝の気持ちの表現なのだ。だから、かえって厄介だともいえる。 コーヒーカップを乱暴にテーブルに置いて、コーヒーが受け皿にこぼれても平気なウェートレスがいる。こういう人に限って、チップを少なくすると、露骨に不機嫌な顔をする。彼女はチップの意味が分かっていない。「チップをもらうのが当然と考えるのは大間違いよ!」と言ってあげたいところだが、勇気がなくて言えないのが情けない。ただ惰性でチップをあげている人が多いから、この“やから”が増えるのだ。サービスの満足度に合わせてチップをあげるようにすれば、ドイツのサービスはもっと良くなるのではないかと思うのだが・・・。 最近は、ドライブインやレストラン、マクドナルドでもトイレ掃除をする人がトイレの前に座って、チップをもらっている。トイレ掃除する人がチップをもらうようになってから、トイレがきれいになった。トイレットペーパーもちゃんとある。以前はタダだったけれど、汚かったもの。 先日、私はうっかり、生ゴミ用容器を道路に出すのを忘れてしまった。ところが、ゴミ容器はちゃんと空になって庭に置いてあった。「ドイツのゴミ回収作業員は気が利いていて、親切ね。」と褒めたら、旦那があきれた顔をして、「ぼくが年末にちゃんとチップをあげているからだよ。」と言った。なるほど、これがチップの効用かと納得した次第である。 (2003年10月13日)
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