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連邦議会、労働市場改革法案を可決

 連邦議会は1017日(金)、与党の単独過半数で、労働市場改革法案(ハルツ法III およびIV )を可決した。社会民主党SPDは最後まで党内の意見調整にてこずったが、「アジェンダ2010」改革に政治生命を賭けるシュレーダー首相の大きな圧力を受けて、党内反対派が最終的に妥協案で合意していた。

 可決された法案の主な内容は次の通り。

ハルツ法IIIHartz III

 同法は連邦労働庁の再構築を規定する。連邦労働庁は200411日から「連邦雇用エージェンシー(Bundesagentur für Arbet)」に改名すると共に、敏速かつ効率的な職業斡旋を行う職業センター(Job-Center)を構築する。職業センターが失業手当II 受給者の世話もする。組織の再編や規定の簡略化により、職業斡旋業務の人員を増やして、有効な職業斡旋の強化を図る。今後は、一人の職員が75人の失業者を担当する(これまでは350人)。

 ハルツ法IIIは連邦参議院の同意を必要としない。

ハルツ法IVHartz IV

     20047月から、失業扶助と社会扶助を失業手当II に統合する。失業手当IIは社会扶助と同額とし、旧西独が一律月額345ユーロ、旧東独が331ユーロ。これに伴い、連邦社会扶助法も改正される。

     連邦労働庁が失業手当II受給者の管轄機関となる。

     失業手当II 算定には、配偶者の所得と財産も考慮される。本人の財産の上限は、1年齢あたり200ユーロ(40歳の場合は40 X 200 = 8000ユーロ)で、さらに、老後のための貯え(生命保険など)が1年齢あたり200ユーロ認められる(合わせて、1年齢あたり400ユーロが上限)。企業年金、リースター年金、自宅も算定から除外される。

     原則として、土地慣行ないし賃金協約の賃金であれば、あらゆる労働(職場)が期待可能(zumutbar)とみなされる(あらゆる労働を受け入れなければならない)。

     職業センター(Job-Center)との協力に欠ける場合(斡旋された仕事を拒否する場合など)には、失業手当II は最高30%削減される。

ハルツ法IVは連邦参議院の同意を必要とする。

キリスト教民主同盟CDU/社会同盟CSU は、失業扶助と社会扶助の統合には賛成しているが、失業手当II 受給者の管轄機関は連邦労働庁ではなく、地方自治体であるべきだとしている。これまで、失業手当・失業扶助は連邦労働庁、社会扶助は地方自治体の管轄であった。また、CDU/CSUは、失業手当II 受給者は(土地慣行ないし賃金協約の賃金よりも低い)低賃金の労働(職場)もすべて受け入れなければならないとしており、その場合には、社会扶助との差額を税金で補助することを提案している。

連邦参議院がハルツ法IVに同意しないことが確実であることから、両院協議会で12月に合意することになりそうだ。

20031020日)

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