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連邦議会、諸法案を可決

  連邦議会は1017日(金)、租税改革法案、タバコ税法改正案、営業税改革法案、誠実納税促進法案などの諸法案を可決した。可決された法案の主な内容は次の通り。

     租税改革(2004年度予算付随法)

2005年に予定されていた租税改革第三段階(税率の引き下げ、基礎控除の引き上げなど)を前倒しして、2004年に実施する。国民と中小企業の負担軽減は156億ユーロと試算されており、政府は景気回復の推進力になることを期待している。

 また、通勤交通費の控除が1kmあたり15セントに削減されるほか、マイホームの控除がほぼ完全に廃止される。公務員のクリスマス手当ては60%に、恩給受給者のクリスマス手当ては50%に削減される。さらに、年金金庫への連邦補助金が20億ユーロ削減される。

 この法案は連邦参議院の同意を必要とする。

     タバコ税法改正

 20041月から20057月までに、3段階に分けて、タバコ税をタバコ1本あたり1,5セントずつ引き上げる(1箱あたり約1ユーロの引き上げ)。

 キリスト教民主同盟CDU/社会同盟CSUと自由民主党FDPはこの法案に反対した。シュミット連邦保健社会相は、タバコ税引き上げによる増収分を疾病保険外給付サービスの財源にする計画である。

 この法案は連邦参議院の同意を必要としない。

     脱税者に対する期限付き恩赦(誠実納税促進法)

 脱税者は脱税したお金を2004年中に外国からドイツ国内に移して申告すれば、税率25%で追加納税できる。処罰は科されない。200513月は税率35%。それ以降は、脱税は今よりも厳しく処罰される。政府はこの恩赦による収入を50億ユーロと見込んでいる。

 この法案は連邦参議院の同意を必要とする。

     営業税改革(市町村の税財政改革)

自由業者と自営業者(開業医、弁護士、芸術家など)を営業税の課税対象に加える。家賃や金利、リース、用益賃貸借のような利益に無関係な支出にも営業税が課せられる。営業税納付金を営業税収の29%弱から20%に引き下げる。営業税を市町村経済税(Gemeindewirtschaftsteuer)に改名する。

この法律改正の目的は、地方自治体の財政状況を改善することである。政府の試算では、市町村は営業税改革により、年間約30億ユーロの増収を見込める。

また、企業の租税上の優遇措置が削減される(租税優遇措置削減法)。営業税上の損益繰越が半減されるほか、最低税が導入される。生命保険会社や疾病保険会社は再び、出資や金融資産からの損失を100%控除できるようになるが、出資や金融資産の売却益、資本収益は再び100%課税されるようになる(出資や金融資産からの損失を利益と差引勘定できる)。

 この法案は連邦参議院の同意を必要とする。

 CDU/CSUがこれらの諸法案に反対を表明しているため、連邦参議院が同意しないのは確実で、両院協議会でかなりの変更があると予想される。最終的な合意は12月半ば頃になる見通しである。

20031020日)

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