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心筋梗塞の治療に男女差あり

 心筋梗塞は男性特有の病気ではない。ドイツでは、心筋梗塞で亡くなる女性の方が男性よりも多い。年間約87000人の女性、78000人の男性が心筋梗塞で死亡している。それにもかかわらず、長い間、女性の心筋梗塞は過小評価され、研究も遅れていた。

 ようやく、心臓病における男女の違いが学術研究で実証されるようになった。ミュンヘン大学人間科学センターのヘルテル氏は、ヘーエンリード大学病院の国際シンポジウムで、「予防と治療において、男女の違いをもっと考慮しなければならない」と語った。

 心臓病の女性の3分の1以上(34%)は、大学病院に運ばれる前に急性梗塞で死亡しているのに対して、男性の場合は30%である。最初の24時間で死亡する割合も女性の方が高い。心筋梗塞になる女性は、男性よりも年齢が高く、病気も重いが、すぐに病院へ行かない。女性が医者の診察を受けるのは男性よりも1時間遅いという。専門家は、病気の症状が認識されない、あるいは深刻に受け止められない傾向があるのではないかと推測している。男性は特徴的な胸痛を訴えるのが通常だが、女性は汗が噴き出る、吐き気、嘔吐、胃痛、腹痛を訴えるという。

 クライン教授は、女性は急性の段階で十分な治療を受けていないと批判している。女性は病院で、換散治療のような人命救助措置を受けることが少ないという調査結果も出ている。しかし、全体的に治療が改善されており、ドイツ心臓センターの2000人の患者は男女共にその恩恵を受けているという。

 一方、リハビリにおいても男女の差が見られる。女性患者の方がリハビリに送られるケースが少なく、悪い健康状態でリハビリに来ることが多い。また、女性は心筋梗塞の後、不安やうつ病に陥るケースが多く、1年半後の状態は男性よりも著しく悪い。このような調査結果に基づいて、シュタンベルガーゼーのリハビリ大学病院は、特別に女性の要求を配慮したサービスを提供する計画である。

2003年10月20日)

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