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介護保険改革の基本方針

  シュミット連邦保健社会相は介護保険改革基本方針を発表した。これを基に、与党内の専門家が審議して、当事者のための介護保険改革を決定するという。シュミット保健社会相は、当事者のために介護保険を改善すること(給付のスライド制、痴呆性高齢者の介護)、連邦憲法裁判所の判決に基づいて、20041231日までに家族負担調整を規定すること(子供を養育しない人は子供を養育する人よりも多い介護保険料を払う)を目的としていると語った。 

  連邦憲法裁判所は200143日、子供のいる親と子供のいない人が介護保険で同等に扱われているのは憲法に違反するとする判決を下した。この判決に基づいて、立法者は20041231日までに、子供を養育する被保険者を優遇する法律改正をしなければならない。

  シュミット保健社会相によると、介護保険の財源における持続性を保証し、賃金付随コストの上昇を抑制し、同時に、人口統計上の展開から生じる負担をできるだけ公平に各世代に配分する改革コンセプトを目指しているという。

  介護保険改革基本方針の主な内容は次の通り。

     介護保険は主要社会保険の一つである。そのために必要な連帯、自己責任、自己負担が社会政策上のバランスを保たなければならない。

     連邦憲法裁判所の判決を実施するために、子供を養育しない被保険者から、所得に応じた割増保険料を徴収する。

     在宅介護と施設介護の現物給付額を統一する(リュールップ委員会の提案では月額500ユーロ(要介護度 I )/1000ユーロ( II )/1500ユーロ( III )であるが、まだ決定していない)。そのために、要介護度 I II の施設介護現物給付額を引き下げて、要介護度 I IIIII の在宅介護現物給付額を引き上げる。「施設介護の前に在宅介護」の原則に基づいて、在宅介護を強化する。

     介護保険のすべての給付は2007年からスライド化される。過去3年間の平均インフレ率を0,25%上回るスライド率で引き上げられる。

     日常生活を送る能力に制限のある人(特に痴呆症の人)には、要介護の認定と要介護度の決定において、毎日30分間の一括時間割増が基本介護に加算される。その結果、約6万人の痴呆性高齢者が介護保険の給付を受けることができる。また、さらなる約12万人の要介護者が従来よりも高い要介護度に分類される。この措置により生じる追加コストは75000万ユーロと推定されるが、これは施設介護と在宅介護の給付額の改変により調整できる。

     疾病保険と介護保険の給付のネットワーク化/組み合わせを改善する。すなわち、病院から在宅介護への移行の改善、医者・療法士・介護施設の協力の改善、リハビリ施設と介護施設の協力の改善、「介護の前に予防とリハビリ」の原則の強化。

     2007年からは、介護施設における治療介護の財源が法定疾病保険に移る。

 シュミット保健社会相は、介護保険をさらに発展させることは社会保障制度再生の一部であり、「アジェンダ2010」の一部でもあると語った。一方、緑の党のデュケルト氏は、子供のいない人とすでに子供が独立している親から、所得に応じて、月額13ユーロを追加徴収すべきだとしている。しかし、詳細はまだ決まっておらず、介護保険改革は来年、決定される予定である。

2003113日)

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