オバサンの独り言

  けたたましい自転車のベルの音にびっくりして振り向くと、30歳ぐらいの男性が自転車で走ってくるのが見えた。ちょうどそのとき、前方を、かなり年配のおばあさんが杖をついて歩いていた。危ない!と思った瞬間に、その男性は、びっくりして立ち止まったおばあさんのそばをかなりのスピードで走り去っていった。おばあさんがヨロヨロと倒れていたら、どうなっていたかと思うと、無性に腹が立った。

 ミュンヘンでは、自然環境にやさしい自転車のために、自転車道が整備されている。但し、旧市街の歩行者ゾーンでは、歩道の上に赤いラインを引いて自転車道にしている。さっきのおばあさんは、その赤く塗られた自転車道を渡ろうとしていたのだ。もちろん、信号も横断歩道もない。本来、ここは、歩く人と自転車に乗る人がお互いに譲り合って共有する場所なのだ。

 ところが、自然にやさしい自転車に乗っている人が、歩行者ゾーンでもお構いなしにビュンビュン走って、人間へのやさしい思いやりを忘れている。これでは、「自然にやさしい街づくり」のスローガンが泣く。

 時速制限のない高速道路を走るような感覚で、自転車を飛ばす人がいるので、自転車道といえどもとても危険だ。ボーっとしていると、本当に危ない。日本から来た観光客やビジネスマンは、自転車道に慣れていないため、ついつい自転車道を歩いてしまうことが多い。くれぐれもご注意を! なにしろ、ドイツはポルシェや BMW の国ですからね。

20031110日)

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