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SPD、職業訓練分担金コンセプトを決定

 社会民主党(SPD)議員団は1111日(火)、職業訓練分担金の導入を決定した。その基本方針によると、職業訓練の職場を青少年に提供しない、あるいは職業訓練生の少ない企業は来年から職業訓練分担金を払わなければならない。毎年930日に、どの企業からいくらの分担金を徴収するかが決定される。職業訓練生の不足数に応じた分担金は連邦の中央基金にプールされ、職業訓練の職場の促進に充てられる。小規模企業と起業したばかりの企業には例外規定が適用される。

 SPD は、このコンセプトに基づいて、連邦参議院の同意を必要としない法案を作成し、来年2月に連邦議会で可決させる計画である。この法律は、来年9月末の時点で、規定された人数の職業訓練生を雇っていない企業に適用される。

 クレメント連邦経済相と1015人の SPD 議員は「危ない橋渡りだ」として、経済界との共同解決策を目指している。クレメント経済相は、分担金の徴収では問題の原因を解決できないと見ている。現在すでに、青少年の95%が職業訓練の職場に就いていることを指摘して、すべての青少年に職業訓練の職場を斡旋することはできないと語った。経済委員会のヴェント氏は、「危機の根源を撲滅する措置ではない」として、「多くの青少年が職業訓練を受けるだけの能力に欠けているという問題のうわべを飾るだけだ」と批判した。また、SPD コンセプトではデータの把握の方法も解決されていないという。ブランドナー議員は新たな官僚主義を懸念している。党内では、SPD 党大会を前に、改革反対派を宥めるために職業訓練分担金の導入を決定したと見られている。

 一方、キリスト教社会同盟 CSU のシュトイバー党首は、「誤った決定だ」として、その代わりに職業訓練生の給与の削減を提案した。企業が分担金だけを払って、見習生を訓練しなくなることを懸念している。野党は連邦参議院でこの法律制定を阻止することができないが、政権交代の際には、この法律を廃止すると語った。また、使用者連盟のフント会長は、現実離れした、本来の問題を見失った措置だと厳しく批判した。経済団体は職業訓練分担金の導入に強く反対している。ドイツ卸売・貿易業連盟は、分担金は邪道であり、職業訓練市場の改善には役立たないと見ている。

20031117日)

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