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CDU、ホーマン議員を議員団から除名

   キリスト教民主同盟 CDU社会同盟 CSU の連邦議会議員団は1114日(金)、反ユダヤ主義的発言で非難されているマルティン・ホーマン CDU 連邦議会議員(55歳)を CDU/CSU 連邦議会議員団から除名した。除名賛成が195票、反対が28票、棄権が16票、無効が4票、欠席が5人であった。賛成票が規定の3分の2に達したため、ホーマン議員の除名が成立した。これは CDU/CSU 連邦議会議員団設立以来、最初の除名である。ホーマン議員は任意の脱退を拒否していた。

 反対ないし棄権する 議員が予想以上に多かったことから、メルケル CDU 党首の立場が弱まったという見方が強くなっている。この反対・棄権票はメルケル党首に対する反対票とも見られている。他の党やメディアからの非難を受けて、メルケル党首が急遽、「戒告」から「除名」に処分を変えたことに対する不満が予想以上に大きかったようだ。 CDU 党幹部は、反対票が多すぎた場合に、国民に間違った印象を与えることを懸念していた。

 メルケル党首は、ホーマン問題の帰結として、国民としての誇りと愛国心に関する議論をしなければならないと語った。反対・棄権票は、ホーマン議員の反ユダヤ主義的発言への共感ではなく、同僚への連帯感に起因していると見ている。また、マイヤー幹事長は、ホーマン議員の発言は CDU の保守的な立場と一致しないと語った。従って、CDU は明確に一線を画しなければならないという。

  ホーマン議員は103日のドイツ統一記念日に地元選挙区の講演で、「ユダヤ人は、ロシアの十月革命に参加していたのだから、「加害民族」ということができるのではないか」という問いを投げかけた。この発言がメディアで報道された後、メルケル党首はホーマン議員を戒告処分にしていた。ところが、連邦軍特殊部隊のギュンツェル准将がホーマン議員の発言に賛同し、激励の手紙を送っていたことがドイツ第二テレビの報道で明らかになり、シュトルック連邦国防相がギュンツェル准将を即座に解任したため、再び CDU の処分に対する非難が強まっていた。

 ラウ連邦大統領はホーマン議員除名の決定を歓迎した。社会民主党 SPD と緑の党は除名決定を歓迎すると同時に、反対・棄権票が多かったことを批判した。

 ホーマン議員の選挙区があるヘッセン州の CDU は、今月中にホーマン議員に対する党除名手続きを開始することを明らかにした。それに対して、ホーマン議員は、今後もフルダ選挙区の議員として活動すると語った。新党結成は否定している。

2003年11月17日)

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