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理事会、デグサ社の記念碑建設参加を認める

   警告の記念碑財団の理事会は1113日(木)、ベルリンのホロコースト警告の記念碑建設プロジェクトを受注しているすべての企業が従来通りの条件で建設を続行することを決定した。その結果、化学会社デグサはナチズムの過去があるにもかかわらず、建設に参加することを認められた。デグサ問題で3週間中止されていた建設は1117日(月)に再開する。

 記念碑の基礎のためのコンクリート液化剤と石碑の落書き予防剤を供給しているデグサ社は、ナチスの強制収容所に毒ガス「サイクロンB」を供給していたデゲシュ社に42,5%出資していた。ホロコースト警告の記念碑の2700の石碑がデグサ社の落書き予防剤でコーティングされることが明らかになったため、石碑の生産が10月末に中止されていた。

 財団理事会の会長であるティルゼ連邦議会議長(SPD)は、デグサ社を除外して建設すれば、234万ユーロの追加経費が発生し、資金上の危機に陥ることを明らかにした。また、このプロジェクトの長い歴史の中で、特定の企業をプロジェクトから除外することは最初から要求されていなかったこと、デグサ以外にもナチスの過去を持つ企業が建設に参加していることを指摘した。

 ドイツのユダヤ人中央評議会はこの決定を「不満足」として批判した。シュピーゲル会長は、この決定を受け入れるのは大変つらいが、決定を尊重すると語った。デグサ社の除外はプロジェクト自体の挫折になっていたかもしれないが、ナチスの毒ガスメーカーであるデゲシュの親会社であったデグサの参加はホロコースト犠牲者一人一人の感情を傷つけるものであるという。

 また、ホロコースト警告の記念碑の発起人であるロシュ氏は、警告の記念碑が建設されることが重要であるが、ユダヤ人とホロコースト犠牲者の子孫がこの警告の記念碑を訪れなくなることが懸念されると語った。ベルリンユダヤ人協会は、デグサは建設に参加すべきではないという見解は変わらないが、警告の記念碑はドイツ人のための警告の記念碑であり、ユダヤ人のためのものではないので、財団理事会のいかなる決定も受け入れるとしている。

2003年11月17日)

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