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教育相会議、教員不足に備えてキャンペーン

  全国教育相会議(KMK)は、2015年までに371000人の教員を採用しなければならないが、教員応募者は30万人弱に止まると予想している。そこで、最低7万人の教員不足に対応するために、教育相会議は教員イメージアップ・キャンペーン「教育-将来への切符」を展開して、できるだけ多くの高校卒業試験合格者に大学で教職課程をとるように促す。郵便葉書やパンフレット、テレビでの大々的な宣伝の費用は全部で2000万ユーロと推定されているが、教育相会議の負担は25万ユーロで、残りはスポンサーが負担するという。

 ベビーブームの子供たちが入学した1970年代に、多くの教員が採用されたが、その教員が今後数年間で退職する。しかし、これまで、教育相は早期対策を怠ってきた。それどころか、1997年には教員過剰を警告したため、教職課程をとる学生が減少した。また、ITブームなどを背景に、自然科学系統の学生は教員よりもハイテク企業への就職を促されてきた。

 一方、厳しい財政状況にある連邦州では、少子化を理由に教員を削減したり、一クラスの生徒数を増やしたり、教員の労働時間を延長してコスト削減を図る傾向が見られる。教育専門家のクレム氏は、教員の労働時間の延長と退職する年齢の引き上げにより、最低7万人といわれる教員不足も実際には25000人に減少するだろうと見ている。また、教育連盟のエッキンガー会長は、2、3年後に教職課程を取り始める若者は教育相会議のいう採用ブームの恩恵をもはや受けないだろうと予想している。

2003年11月17日)

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