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支払いモラルの低下

   発注者の支払いモラルの欠如と不況が手工業者の支払不能を加速している。ドイツ取立会社連盟 BDIU によると、今年は、手工業者の倒産件数が昨年より約 20%増えて 4800件になる見通しである。ドイツ全体では、今年の支払不能申請会社数が対前年比 6%増の約 4 万社と予想されており、手工業の方が他の業界よりも状況が悪化している。

 BDIU とドイツ手工業連盟 ZDH が共同発表したアンケート調査結果によると、個人と企業の債務者が支払いを延ばす傾向が顕著で、全く支払わない債務者もいる。支払いモラルは過去最低であるという。しかし、全体的には、改善の兆候が現れてきており、企業の支払不能件数が減少し始めている。来年の支払いモラルは低水準で安定化する見通しである。

 ZDH によると、顧客は契約上、手工業者よりも有利な立場にあるため、それを利用する発注者が増えている。アンケートに回答した企業の 68%が支払不能の理由として「個人の発注者の不払い」を挙げた。3分の1は「少なすぎる自己資本」と「遅すぎる支払い」を挙げている。

 一方、アンケートに回答した企業は不正労働の増加を訴えている。4 分の1の手工業者が倒産の理由として不正労働を挙げた。また、口実にされる、根拠のない不当なクレームも問題になっている。半分以上の手工業者は、個人の発注者が故意に支払わないと訴えている。特に、従業員 5人以下の小さな手工業者が顧客の不払いの影響を受けているという。

 ZDH は特に、公共の発注者である地方自治体を批判した。市町村は最終的には払うが、支払いを延ばす傾向にあり、約半分の市町村だけが期日通りに支払っているという。そこで、ZDH は、流動性の改善のために、できれば20051月から、予定課税から実課税に制度を抜本的に切り替えるよう、立法者に要求している。実課税になれば、顧客が支払った後に、売上税を納付することになる。

2003年11月24日)

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