ドイツの主要ニュース

外国人留学生の急増

  ドイツ政府は外国人留学生や研究者の招聘を促進するキャンペーンを展開しており、外国人留学生が急増している。しかし、大学側は必ずしも留学生の質に満足していないようだ。

 ドイツの高校卒業試験を合格した大学一年生のうち、少なくとも 30%は選択した専門学科を卒業していない。さらなる 20%は専門学科ないし大学を替えている。ドイツ学術交流会 DAAD によると、外国の高校を卒業した留学生のこの比率はドイツの高校卒業生よりもずっと高いという。その数値が予想以上に高いことから、DAAD は調査した4つの大学(アーヘン工科大学、ミュンヘン大学、ビーレフェルド大学、ハンブルク大学)の許可を得てから統計結果を正式に発表する予定である。アーヘン工科大学では、入学してから 8年後に大学卒業試験に合格した外国人留学生が 20%にすぎない。

 本来、DAAD が中心になって行っているキャンペーン「Hi! Potentials – International careers made in Germany」はアジアやアメリカ、東欧の優秀な学生を勧誘することを目指しており、ドイツの大学の国際化も進展している。過去数年間で、外国人留学生の数が急増し、ドイツは米国、英国に次いで 3番目に人気のある留学生受け入れ国になった。ブルマーン連邦教育相は、ドイツが再び外国人学生に魅力的な国になったと自讃しており、来年はさらに 1400万ユーロをマーケティングに投入する計画である。

 しかし、実際には、語学準備と世話の欠如、希望する学科の適正テストの欠如など、大半の外国人学生は欲求不満を訴えている。また、大学側は量ではなく質を求めている。ハンブルク大学によると、マーケティング・キャンペーンは優秀な学生を求めているが、実際には、応募者の質は様々である。短期間で優秀な学業を収める有望な学生を求めているにもかかわらず、現実には、外国人留学生の学業期間は長く、しかもその成績も芳しくない。外国人留学生の 3分の 1だけがドイツ人の期待しているイメージに適っている。次の 3分の 1は能力があっても学業に関心がなく、滞在許可を得るためにだけ学生ステータスを利用している。最後の 3分の 1は質の低い留学生で、ドイツ語の習得から問題があり、大学入学さえも難しいという。そこで、大学授業料の導入や学期ごとの試験などが対応措置として検討されている。

 一方で、留学生受け入れはエリート学生の促進だけでなく、伝統的な開発途上国援助の一環であるという意見もある。

2003年11月24日)

戻る