オバサンの独り言 「外国人」という言葉は、どちらかというと、否定的な意味合いが強いように思われる。外見からすぐにアジア系と分かる日本人がドイツで生活していると、常に「外国人」という言葉が付きまとう。 土曜日の夜10時半ごろに地下鉄に乗っていたら、酔っ払った若者数人が大きな声で歌を歌いながら乗り込んできた。トルコ人と思われるこの若者たちは、他の乗客を威嚇するように、大声で歌い続けていた。すると、中年のドイツ人男性が、「外国人! 静かにしろ!」と何度も叫んだ。若者たちは、火に油を注がれたかのように、今度は、彼らが住んでいる地区の名前を何度も声をそろえて叫んだ。その地区には外国人、特にトルコ人が多い。そこのトルコ人の若者の犯罪が急増している。 ドイツの外国人問題は深刻だ。特に、外国人の子供の落ちこぼれと犯罪化が大きな社会問題になっている。ここでは、ドイツ国籍を持っているか否かはあまり問題にならない。ドイツ国籍を持っているトルコ人でも、ドイツ人にとっては、トルコ人はトルコ人、すなわち外国人。ドイツのパスポートを首からぶら下げていない限り、だれもドイツ人だなんて思わない。彼らの肩肘張った、挑発的な態度には、ドイツ社会に馴染めず、はみ出 てしまった外国人の欲求不満や怒り、責任転嫁、被害妄想、劣等コンプレックスなどの交錯した心的状況が見え隠れする。 ふと、知人が言ったことを思い出した。彼が外国人局へ行ったとき、「あんたは外国人だね」と言われたので、「いいえ、違います。僕はハンガリー人です」と答えたという。「外国人」という言葉は、外国人にとって快い言葉ではない。 (2003年11月24日)
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