オバサンの独り言 知り合いの20歳の青年が10月から兵役についている。朝 5 時から夜 6 時まで、みっちり訓練を受けた後、武器の手入れや掃除もしなければならないそうだ。これまでの生活から180度転換した毎日だ。先週は二日間、野営。雨が降り、気温も下がって、小さなテントで寝るのは大変だったにちがいない。夜中、見張り番もしなければならなかったという。幸いなことに、これはあくまでも訓練であって、戦争ではない。 戦時中、この青年と同じ年頃の若者たちは生きるか死ぬかの戦場で野営をした。当時の装備は今とは比べ物にもならない。現代青年の話を聞きながら、厳寒の戦場で寒さに震え、恐怖に慄く当時の若い兵士たちの姿を想像した。 感謝祭の日、ブッシュ米大統領がバグダッドを電撃訪問したというニュースを見た。大統領が突然、入場したとき、何も知らなかった約600人の兵士から驚きと歓迎の声が上がった。ドイツのマスコミの大半は「次期大統領選に向けた再選戦略」、「ハリウッド的な演出」と冷ややかな目で見ているが、相次ぐテロで友や同僚が殺害されているイラクで感謝祭を祝わなければならない兵士たちが総立ちになって、拍手喝さいする姿は本物だった。 11月29日、イラクで日本人外交官2人が殺害された。殺害された奥氏は外務省ホームページの「イラク便り」の中で、「犠牲になった尊い命から私たちが汲み取るべきは、テロとの闘いに屈しないという強い決意ではないでしょうか。テロは世界のどこでも起こりうるものです。テロリストの放逐は我々全員の課題なのです。」(2003年11月13日)と書いていた。奥氏と井ノ上氏の死は私たちに大きな課題を投げかけている。 各国の首脳たちよ、意地の張り合いをしている間に多くの尊い命が失われていくのを黙って見ているのですか? (2003年12月1日)
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