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ドイツ人の時間の過ごし方

  シュミット連邦家族・高齢者・婦人・青少年相と連邦統計局のハーレン長官は122日(火)、「国民の時間の過ごし方に関する2001/2002年度調査報告書」を発表した。これは第二回目の調査で、第一回目は10年前に実施された。国民が仕事、家事、家族、教育、学習、余暇にどのように時間を配分しているかを調査することが目的で、テーマは家事における共同作業、有償の仕事と無償の仕事、職業と家庭のバランス、家庭と家事における男女の仕事配分、家庭で過ごす時間など。約5400世帯の約12600人を対象に調査した。

 まず、平均的ドイツ人の一日を見ると、修理に39分、庭の手入れに106分、両親の相談に37分、時間を費やしている。生徒の宿題は約3,5時間。10歳以上のドイツ人の睡眠時間は平均で一日約8,5時間。趣味・スポーツ・付き合いに費やす時間は約6時間(男性が6時間15分、女性が5時間45分)で、その内の約2時間はテレビ(男性の方が女性よりも多少長い。その代わり、女性は男性よりも電話する時間が多少長い)。余暇の時間は1990年代初頭に比べて、男性が平均で1日当たり30分、女性が15分ほど増えた。食事・体の手入れは男女ともほぼ同じで3時間。家事では、女性は男性よりも少なくとも2倍の時間を費やしている。子供のいる職業婦人は毎日4時間弱、男性は2時間だけ。

 次に、テーマごとの主な内容は次の通り。

1)        報酬のある仕事と無報酬の仕事

 家事・子供の世話・介護・ボランティアなどの無報酬の仕事の時間は報酬のある仕事よりも多い。10歳以上の国民では、無報酬の仕事は平均で週当たり25時間、報酬のある仕事は約17時間。女性の無報酬の仕事は31時間弱、男性は19,5時間。女性の報酬のある仕事は平均で12時間、男性は22,5時間。無報酬の仕事と報酬のある仕事の合計では、女性が平均で週43時間、男性が週42時間で、女性の方が約1時間多い。

 圧倒的に女性の方が多い、家庭における無報酬の仕事の価値は1992年の最低6900億ユーロから2001年は8200億ユーロ(時給7ユーロ)に増加した。これは国内総生産の40%に相当する。しかし、全体的に、1990年代初頭に比べると、無報酬の仕事も報酬のある仕事も時間数が少なくなっている。

2)        家事と家庭における男女の仕事分担

 無報酬の仕事における男女平等な分担の傾向が強くなっている。但し、男性が無報酬の仕事に費やす時間は1990年代初頭に比べてそれほど増えていないが、女性が家事と家族の仕事に費やす時間は10%弱減少している。

 子供のいない共稼ぎ夫婦では、女性が家事と家族に費やす時間は3,5時間弱で、男性よりも約45分多い。子供のいる夫婦では、女性が子供のために一時的に職業から離れると、家事の時間が7時間15分に4時間ほど増えるが、男性の無報酬の仕事は30分しか増えていない。但し、男性の有償・無償の仕事の合計は職業から離れた配偶者(主婦)の仕事時間よりも多い。子供のいる共稼ぎ夫婦の場合は、女性の家事の仕事は主婦に比べて2時間15分ほど少ないが、仕事の合計時間は男性とほぼ同じである。

  子供のいない夫婦の場合、男性の72%、女性の71%が家事に費やす時間を適当だとしているが、子供のいる夫婦の場合は、男性の58%、女性の52%しか適当だと評価していない。特に男性が、家事に費やす時間を増やし、職業の時間を少なくしたいと思っている。父親の35%は家事と家族にもっと時間を費やしたいと望んでいる。子供のいない男性では23%。

3)        家族との時間

 6歳以下の子供のいる夫婦では、子供の世話が無報酬の仕事の3分の1以上を占め、独りで子供を養育している女性では43%。直接的な子供の世話では、男性が1時間15分弱、女性が2時間45分で、依然として、典型的な役割分担が顕著である。6歳以下の子供のいる親が子供の世話に費やす時間は1990年代初頭よりも大幅に増えた。旧東独では1日当たり1時間15分増えて6時間、旧西独では45分増えて6時間45分。この子供と過ごす共通の時間には、例えば、買い物や家事、食事をしながら子供と接している時間も含まれる。

 シュミット家族相は、「10年前に比べて、家族の位置価値が高くなっており、両親が子供と過ごす共通の時間が多くなっている。」と語った。父親の3人に1人は、自分の時間と家族と過ごす時間をもっと増やし、仕事の時間を少なくすることを望んでおり、家事と家族における仕事分担を男性も女性も望んでいる。これを実現するためには、企業が家庭に優しい職場環境をつくり、父親の利益も考慮しなければならないという。

 現在、女性も男性も職業と家庭の両立を望んでいるが、依然として、無報酬の仕事の大部分は女性が担っている。そこで、シュミット家族相は、州と地方自治体が子供の世話をする施設や全日制の学校を増やしていかなければならないと語った。

 一方、シュミット家族相は名誉職の活動の重要性を強調した。ドイツでは、18歳以上の1210万人が名誉職の活動をしており、10年前とほとんど変わっていない。成人の約18%が名誉職の仕事をしており、65歳以上の年齢層では15%がボランティア活動をしている。

2003年12月8日)

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