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欧州裁判所、医薬品のネット通販を認める

   欧州裁判所は1211日(木)、ドイツにおける医薬品のインターネット通販を認める判決を下した。ドイツで認可されている、処方箋義務のない医薬品通販を禁止するドイツの法律は EU 法に則る商品流通の自由に違反するとしている。但し、ドイツで認可されている、処方箋義務のない医薬品のネット販売ないし通販の禁止は違法であるが、ドイツで認可されていない、あるいは処方箋義務のある医薬品に対する販売の制限・禁止は健康管理と商業上の濫用防止のために認められる。

 ドイツ薬局連盟がオランダの医薬品ネット通販会社ドック・モリスに対して訴訟を起こしていた。しかし、200411日に保健近代化法が発効し、ドイツ国内における医薬品のネット通販が可能になるので(同法は一定の条件の下に、処方箋義務のある医薬品と処方箋義務のない医薬品の両方のネット通販を認めている)、今回の判決のドイツ市場への影響はあまりないと、専門家は見ている。(2003929日と1124日の主要ニュースを参照)

 連邦政府は、医薬品のネット通販により、保健制度における顕著なコスト節約が可能になるとして、欧州裁判所の判決を歓迎する見解を明らかにした。疾病保険金庫もネット通販会社の市場参入による価格競争でコストを節減できることを期待している。 

 ドイツの薬局は欧州のインターネット通販事業者との競争に備えなければならない。来年1月から、医薬品の自己負担額が高くなるが、ドイツの消費者は市場競争による価格低下の恩恵を受けられそうだ。

 ドック・モリスは通販センターをドイツに移転する計画であるが、新しい保健近代化法でも薬局の他主占有が禁止されているため、当分はオランダからネット販売するという。しかし、今回の判決の勢いで、ドイツ立法者への自由化の圧力がさらに高まることが予想される。

 一方、医薬品メーカーは、本社が外国にあることを理由に、ドイツの薬局に与えている通常の割引(6%)をドック・モリスに対しては拒否しているため、ドック・モリスは医薬品メーカーに対する訴訟も準備している。今回の判決は規制緩和への追い風になりそうだ。

20031215日)

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