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ジーメンス社、東欧への開発部門移転を強化

   ジーメンス社のフェルドマイヤー役員はフィナンシャル・タイムズ・ドイチランド紙のインタビューの中で、欧州連合の東方拡大に伴い、ジーメンス社が東欧へのソフトウェア開発/会計事業部門の移転を強化することを明らかにした。このオフショア戦略の目的は、EU 新規加盟国の成長市場の恩恵を受けること、コスト上の利点と質の高いソフトウェア技術者を有効に活用することである。フェルドマイヤー役員は、今後数年間で研究開発事業の約3分の1を低賃金国の拠点で行うことを「現実的」と見ている。

 ジーメンス社では、5万人以上の専門者が研究開発部門で働いており、その内の3万人はドイツ、残りの大半は高賃金国の拠点。研究開発専門者のうち約3万人はソフトウェア開発者である。現在、東欧諸国の21拠点で2700人の開発者がジーメンスに従事しており、今後、この拠点を拡張していく計画である。

 もう一つの戦略目標は、拠点ごとに分散されている会計や人事管理の部門を統合することで、欧州のバックオフィス機能をチェコに移転するという。次期社長候補に挙がっているフェルドマイヤー役員は、権限をジーメンス社内に保持するために、アウトソーシングではなく、オフショア戦略をとると語った。「東欧はオフショア戦略に最適である」と評価しており、ロジスティクス、言語、国民性、少ないリスクを理由として挙げた。成長する東欧諸国に比べると、ドイツの立地条件には満足していないという。

 ドイツでは、現在、特に銀行がアウトソーシングを進めている。しかし、フェルドマイヤー役員は、米国や英国ですでに進展しているオフショアの傾向がドイツにおける改革への圧力を高めるものと確信している。最終的には、ドイツ企業が競争力をつければ、ドイツがその恩恵を受けることになるのだという。

 このオフショア戦略がドイツの労働市場に及ぼす影響はまだ予測できない。SAPなどの大手企業も研究開発部門や会計部門、顧客サービス部門をロシアやインド、中国などへ移転する戦略を強化することを発表している。

 経済専門家は、今後、低賃金国への労働の移転が急増すると予想している。特に東欧諸国と比較すると、ソフトウェア開発者の賃金差が大きい。専門家によると、スロヴァキアの専門技術者はロシアやウクライナの専門技術者よりも有能だという。

2003年12月15日)

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