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連邦家族相、「家庭にやさしい企業」調査結果を発表

  シュミット連邦家族相とフント連邦使用者連盟会長は、「家庭にやさしい企業」に関するアンケート調査結果を発表した。この調査は、連邦家族省と4つの経済団体の委託で、ケルンのドイツ経済研究所(IW)が878社を対象に実施した。主な調査結果は次の通り。

     企業が家庭にやさしい職場を作るための措置をとる動機は、職場における従業員の満足度を高めること(75%)、質の高い従業員を獲得・確保すること(75%)、病欠を少なくしてコストを節約すること(64,3%)である。

     家庭にやさしい職場を作る措置として最も多いのは、フレキシブルな労働時間である。従業員から見て、家庭と仕事の両立のために最も重要な措置の一つが労働時間のフレキシブル化である。76,8%の企業がフレキシブルな労働時間や在宅勤務を提供している。

     42%の企業が子供や家族の世話において従業員を支援している。23,4%の企業では、子供の病気(法律で規定されている)だけでなく、家族の介護でも短期的に労働を中断できる。1,9%の企業は幼稚園を、1,8%は幼児託児所を提供している。また、1,4%の企業は従業員の子供のために公立幼稚園の在籍権を確保している。1%は保育ママサービスを提供している。

     46,4%の企業は、労働協約や事業所合意、企業ガイドラインに基づいて、家庭にやさしい人事を実践している。

     46,6%の企業は、家庭にやさしい職場のための措置が企業にとって重要であることを認識している。50,4%は、「重要ではない」と回答した。54,6%は、従業員にとって重要であることを認識している。しかし、70,1%の企業は、企業におけるこのテーマの優先順位はむしろ低いと見ている。37,8%はこのテーマを重要視する傾向が見られると回答した。

 シュミット連邦家族相によると、企業の幼稚園の割合は過去5年間で0,8%から1,9%に増加した。企業の42%は、子供や家族の世話において従業員を支援していると回答しているが、実際には保育施設を提供しているのは6%にすぎない。スカンジナビア諸国や米国に比べても、ドイツは家庭にやさしい職場環境作りでまだ改善しなければならない点が多い。シュミット家族相は改善を加速化する方針であることを強調した。人口統計上の展開を鑑み、経済界も家庭と職場の両立に対する考え方を一新しなければならないという。連邦家族省は、児童保育サービスを提供する企業の割合を今後10年間で10%に拡大することを目指している。

 フント連邦使用者連盟会長は、企業の4分の3 以上がフレックスタイム制やパートタイム労働、在宅勤務のようなフレキシブルな労働時間制度を導入していることを指摘して、たいへん良い結果だと評価した。景気が再び好転すれば、家庭にやさしい職場のための措置が重要視されるようになると見ている。

 連邦家族省は「家庭にやさしい企業」に関する調査を今後も継続していく方針で、連邦家族省/企業/労働組合/経済団体が共同で作業部会を結成した。また、家庭にやさしい企業コンテストも実施する計画である。

2003年12月15日)

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