オバサンの独り言 めっきり日が短くなった。朝は7時半ごろまで薄暗く、夕方5時にはもう真っ暗。繁華街はクリスマス市の照明やネオンで明るいが、ひとたび住宅街に入ると、通りは暗く、人影もない。今まではそうだった。 ところが、今年は住宅街も明るい。クリスマス装飾用ネオンが一般家庭でもブームらしい。玄関や窓、バルコニーを多彩な色の豆電球で飾り、クリスマスの雰囲気を醸し出している。私など、どぎつい色の豆電球で装飾された窓を見ると、いかがわしい場所の飾り窓を連想してしまうのだけれど・・・。 とにかく、今年はどの家も豆電球で飾りまくっている。工夫を凝らした、なかなか芸術的な上品なものもあるが、「勘弁してよ!」と言いたくなるような代物もある。住民同士の競争がエスカレートしている通りなどもあるのだそうだ。 この豆電球の装飾、見ているときれいだけれど、実はかなりの電力を消費するらしい。まるで大衆スポーツかのように豆電球を飾りまくっていると、大きなエネルギー問題になるのではないかなどと要らぬ心配をしてしまう。エネルギー節約、太陽熱利用、風力発電、バイオマス発電、再生可能エネルギー、原子力発電反対などなど、自然環境の問題意識が高いドイツ人にしては、なんとも矛盾した現象である。 今年は失業、不況、リストラ、税制改革、年金改革、社会保障改革・・・と、暗いニュースばかりだった。来年早々、疾病保険改革で自己負担が多くなるし、租税上の優遇措置も削減される。年金も実質引き下げ。庶民の財布の中身は確実に少なくなっていく。暗い話題ばかりの今日この頃、「マッチ売りの少女じゃないけれど、せめてクリスマスの12月ぐらいは色とりどりの豆電球でパッと明るくしようじゃないの」という庶民の精一杯の抵抗が今年のクリスマス装飾用豆電球ブームに現れているのかもしれない。 でも、やっぱり、モミやトウヒの枝で編んだ飾り環やろうそくの光の方が、情緒があってドイツ的だと思うのだが・・・。 (2003年12月15日)
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