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モービルコム、UMTS免許を返却

   電話会社モービルコムは1223日(火)、UMTS免許を郵電規制庁に返却すると発表した。その結果、モービルコムは自前の携帯電話網がなくてもサービスプロバイダーとしてUMTSサービスを提供できる。免許所有者は同時にサービスプロバイダーであることが認められないため、UMTS免許を保持できなくなったという。

  モービルコムは2000年夏の競売でUMTS免許を約84億ユーロで取得したが、資金調達を巡って大株主のフランステレコムと対立し、UMTS網構築を断念しなければならなかった。すでに構築していた一部のUMTS網(投資額11億ユーロ)は競合会社のE-プルスに2000万ユーロで売却していた。モービルコムのほか、クアム(スペイン企業テレフォニカとフィンランド企業ソネラの合弁会社)もUMTS網構築から撤退しており、郵電規制庁がUMTS免許の返却を要求するのは時間の問題となっている。

 競売でUMTS免許を取得した6社は、2003年末までに、人口の最低25%のサービス供給率達成を義務付けられており、この条件を満たせなかった企業は免許を返却しなければならない。UMTS免許を売却することは認められない。

 クルト郵電規制庁長官は、モービルコムが示唆した免許料払戻はないことを強調した。郵電規制庁は、他のUMTS免許所有者が網構築条件を満たしているかどうかを検査した後、返却されたUMTS免許についての決定を下す。新たに競売することはなく、免許をそのままにしておくか、残る4社に配分することが考えられるという。T-モバイルとボーダフォンが追加免許に関心があると見られている。

 大きな期待をかけられていた次世代携帯電話技術UMTSは現行のGSM技術との連携に問題が残されており、かつての楽観的展望はもはや見られない。当分、UMTSサービスは大都市だけで可能であることから、引き続き、GSM網が利用されることになりそうだ。欧州最大の携帯電話市場であるドイツでは、ようやく来年、UMTS携帯電話サービスがスタートする予定である。

20031229日)

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