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シュミット家族相、兵役代替勤務の廃止に備える

   シュミット連邦家族相は、兵役拒否者に課せられる兵役代替社会奉仕勤務が廃止された場合の影響を調査する「兵役代替社会奉仕勤務の将来」委員会を設置することを明らかにした。この委員会は兵役代替社会奉仕施設、州政府、家族省、財務省、国防省などの代表者から成り、シュミット家族相は来年春に調査結果を発表する予定である。

 シュミット家族相は、「個人的に兵役廃止に賛成である」として、兵役が廃止されれば、兵役代替社会奉仕勤務も廃止されるので、その影響を把握しておかなければならないと語った。全員に課す一年間の社会奉仕義務は、憲法上の理由から可能ではないので、任意の社会奉仕を拡大していくことが不可欠だという。

 一方、社会福祉団体は、兵役代替社会奉仕勤務が廃止された場合の影響はあまりないと冷静に見ており、廃止の可能性に対して慎重な反応を示している。病人や老人へのサービスにおける直接的な危機は生じないが、サービスの質にネガティブな影響が出るかもしれないという。カリタスのスポークスマンは、すでに以前から、兵役代替社会奉仕勤務者だけに依存しないように各社会福祉施設に指示しており、対応はしてきたが、国は廃止後も一定の社会福祉領域で代替提供を支援しなければならないと語った。

 現在、兵役代替社会奉仕勤務は9ヶ月間で、来年は95000人の青年が従事する見通しである。兵役代替社会奉仕勤務者への支払いに充てられる連邦家族省の支出は84300万ユーロ。社会福祉団体は、廃止後もこの資金を社会福祉部門(例えば、任意の社会奉仕年のようなプロジェクトの促進)に充てるよう要求している。兵役代替社会奉仕勤務期間が9ヶ月に短縮され、勤務者が実際に活動できるのは7ヶ月間に過ぎないため、すでに対応措置をとっているが、今後は、社会福祉領域における任意の活動をもっと魅力的にすることが課題だという。例えば、学生の在籍権付与における優遇、年金保険におけるボーナスポイント、これまで無償だった任意の社会奉仕年における費用補償などが考えられる。

20031229日)

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