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病院勤務医師の救急待機時間は正規労働時間

 欧州裁判所は99日(火)、ドイツの病院勤務医師ノルベルト・イェーガー氏の訴訟に対して、病院勤務医師の救急待機業務を労働時間とみなす判決を下した。「使用者が指定した場所で行われる救急待機業務は全面的に労働時間である」としている。しかも、医師が救急出動のない時間には休んでいることができる場合でも、救急待機業務は労働時間とみなされる。

欧州連合の労働時間指令は私人の間の労働契約には直接的に適用されないため、この判決は、公法上の労働契約関係にある被用者のみに適用される(私立病院の被用者には適用されない)。現行のドイツ労働時間法では、救急待機業務は休息時間とみなされている。

 欧州裁判所の判決は、ドイツの保健制度だけでなく、他の公的部門にも多大な影響をもたらしそうだ。この判決に基づいてドイツ労働時間法が改正されれば、公共の病院施設は新たに15000人~27000人の医師を採用しなければならず、そのコスト負担は1020億ユーロに達すると推定されている。

 クレメント連邦経済相は、今年中にドイツ労働時間法を改正することを明らかにした。この判決は医者だけでなく、他の職業分野(消防士、介護士など)にも適用されるという。また、シュミット連邦保健社会相は、「この判決は、法定疾病保険の保険料率引き下げという保健改革の目標を脅かすことにはならない」と語った。

 一方、医師会は、ドイツ労働時間法の改正に伴って、ドイツの医者不足問題がさらに深刻化することを懸念している。開業医や病院勤務医ではなく、産業界や管理部門での職場を希望する医学生が多くなっているという。また、労働条件のよい外国へいく医学生も増えている。今後、ドイツ医療でも外国人医師が増えることが予想される。

   (2003915日)

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