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OECD、ドイツ教育制度の弱点を指摘

 経済協力開発機構OECDの調査結果によると、ドイツの大学入学者の割合は1998年の28%から2001年は32%に上昇し、2002年は35%以上になったが、OECD平均の47%(2001年)を大きく下回った。大学卒業生の割合は、OECD平均の31%に対して、19%に過ぎない。但し、大学卒業者に占める数学・自然科学・エンジニア分野の卒業生の割合は34%と、国際比較でも高かった。大学入学資格のある卒業生の割合は42%にすぎず、OECD平均の57%を下回っている。

 一方、ドイツの教員は、他のOECD諸国に比べて、経験豊かであるが、年齢層が高い。小学校教員の39,1%、中学校教員の44%が5059歳で、OECD平均(22,8%、25,7%)を上回っている。特に、この年齢層の小学校教員の割合は国際比較で最も高かった。中学校では、30歳以下の教員が1998年の2,6%から2001年は4%に上昇し、3039歳の教員の割合も12,5%から14%に上昇した。4049歳は37,5%。教員の高齢化が顕著であるため、今後、若い教員の育成が学校政策の主要課題になりそうだ。

 ドイツの教員の給与(勤務年数15年以上)は中学校で49053ドル、高校で52839ドルと、国際平均を大幅に上回って、世界2位(1位はスイス)。教員の勤務時間は年間684授業時間で、平均を上回っている。但し、米国(1121時間)やニュージーランド(950時間)には及ばない。両国の教員はドイツの教員よりも勤務時間数が長いが、給与は少ない。

 OECDは、ドイツの高校卒業生と大学生の割合が低いこと、過去20年間に教育水準が停滞したことがドイツ経済低迷の要因になっていると指摘している。他の工業国は過去20年間に就業者の教育水準を著しく向上させたが、ドイツでは80年代以来停滞している(大学卒業者の割合も変わっていない)。就業者人口の教育水準の向上、特に大学卒業者の増加は工業国において、労働生産性向上に大きく貢献しているという。フント・ドイツ使用者連盟会長は、現在の教育制度を早急に改革しなければ、ドイツは先進工業国の第1リーグから脱落すると警告している。

2003923日)

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