ドイツの主要ニュース

子供のいない人の介護保険料引き上げを計画

 シュミット連邦保健社会相は、子供のいない人とすでに子供が独立している親から一律月額 2,5 ユーロの追加介護保険料を徴収する計画であることを明らかにした。それにより、連邦憲法裁判所の判決(2004年末までに、子供を扶養する親の介護保険料負担を軽減しなければならない)に十分に応えることになると語った。(2003113日の主要ニュースを参照)

 シュミット保健社会相は、子供を扶養する親の実質負担軽減(保険料引き下げ)は考えていない。在宅介護を促進し(在宅介護と施設介護の給付額を統一する)、痴呆症や精神病の人の介護を強化し、給付をスライド化するために、介護保険収入を増やさなければならない一方で、賃金付随コストの上昇を抑えて、保険料率1,7%を確保しなければならない。そこで、シュミット保健社会相は、子供を扶養する親の負担軽減は保険料引き上げ対象者から除外することで達成できると見ている。

 それに対して、キリスト教民主同盟 CDU は、子供を育て上げた親からも追加介護保険料を徴収するのは連邦憲法裁判所の要求に沿うものではないとして、シュミット保健社会相の計画を批判している。シュトルム議員(CDU)は、積み立て方式への移行を伴う抜本的な介護保険改革が必要だと語った。CDU は、子供のいる被保険者を優遇するために、その介護保険料の一部を税金で補助すること(月額10ユーロの介護保険補助金)を提案している。

 在宅介護と施設介護の給付額が統一されると、施設介護の給付額が大幅に削減されるため、施設介護における家族の負担が大きくなることが予想される。連邦通常裁判所の200312月の判決によると、施設介護経費を年金ないし社会扶助と介護保険給付で賄えない要介護者においては、一定の条件下かつ個別事例ごとに、実子だけでなく、その配偶者も施設介護経費の一部を負担しなければならない。これまでは、直接の親族だけに負担義務があり、しかも負担しなければならないケースは少なかった。社会福祉事務所が不足分を払っている。今回の判決では、高所得者の婿に対しては「婿の責任」を要求できるとしている。今後、社会福祉事務所がこの判決に基づいて、従来以上に家族の負担を要求することが予想される。

 一方、シュミット保健社会相は、年金保険においても子供のいる被保険者を優遇するために、子供のいない人の寡婦年金削減も検討していることを明らかにした。現在、シュミット家族相と共に、子供のいる人を子供のいない人よりも優遇する寡婦年金体系を検討しているという。但し、寡婦年金制度は長期的にしか改正できないため、現在の寡婦年金を短期的に削減する計画はないとしている。

 現在、ドイツには200万人の要介護者がいる。2003年は介護保険金庫の赤字が5億ユーロに達する見通しで、この赤字は約50億ユーロの積立金で補償される。シュミット保健社会相は今年4月までに介護保険改革法を成立させる計画である。

200415日)

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