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財務省、不正労働取締り法案を計画

   アイヒェル連邦財務相は、「不正労働とそれに関連する脱税の取り締まり強化法案」を218日に閣議決定して、今夏には発効させる計画である。脱税と社会保険料未納に対する処罰を厳しくして、不正労働の撲滅を目指すこの法案には、派遣労働者や外国人の不法雇用および社会保険給付の横領に対する規定も含まれている。連邦政府は、国民に「新たな違法性の認識」をもたらすと同時に、年間10億ユーロの増収を期待しているという。この法律は連邦参議院の同意を必要とする。

 法案によると、税関が不正労働取締り管轄官庁で、その監督権が拡大される。約7000人の職員が建設現場や飲食店、ホテル、ドライブインなどにおける不正労働者の取締りを強化する。また、税務署の脱税調査官との協力も拡大し、科刑が大幅に厳しくなる。税務署と社会保険官庁に申告されずに支払われる労働は秩序違反行為ではなく、犯罪とみなされる。

 さらに、企業だけでなく、個人も職人や家政婦から請求書を要求し、領収書を2年間保管することを義務付けられる。それを怠った場合には、最高1500ユーロの過料を科せられる。連邦会計検査院によると、雇用者が経費を控除できない場合に(例えば、住居の修理、庭の手入れ、清掃など)、請求書なしに不正労働者を雇うケースが多い。但し、家族の一員や配偶者がおこなう労働、住居促進法の意味における「近隣間の相互扶助」や「好意」、「自助」は処罰対象から除外される。

 野党は連邦財務省の法案を厳しく批判している。キリスト教民主同盟 CDU のアウスターマン氏は、取り締まり強化の前に、税負担の軽減と非官僚制化を実施して、国民が不正労働をしないようにしなければならないと語った。マイヤー CDU 幹事長によると、個人世帯での労働を税金から控除できるようにすれば、個人世帯が雇用者として認められ、不正労働もなくなるという。自由民主党 FDP のヴェスターヴェレ党首は、不正労働取締りに多くの職員を投入する代わりに、抜本的な税制改革を実施すべきだと批判した。

 ドイツでは、不正労働が高水準に達しており、公共団体に大きな損害をもたらしている。チュービンゲンの応用経済研究所 IAW によると、2003年の不正労働市場規模は3700億ユーロ以上で、これは国内総生産の17%を占める。2003年の不正労働は2002年よりも 5,6%増えた。不正労働増加の主因は税金と社会保険料の負担増である。

200415日)

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