ドイツの主要ニュース

兵役代替勤務の代わりに任意の社会奉仕

 連邦家族省の委員会は115日(木)、「市民社会への提起-ドイツにおける兵役代替社会奉仕勤務と任意の社会奉仕勤務の展望」に関する報告書を発表した。委員会はその中で、兵役義務廃止に伴う兵役代替社会奉仕勤務の廃止を「任意の社会奉仕が自明になる新しい文化」で埋め合わせることを提唱している。但し、具体的な兵役代替勤務廃止時期は提示しておらず、これは国防軍構造に関する政治決定に依存するとしている。委員会が提唱している主な点は次の通り。

     兵役代替社会奉仕勤務期間を現在の10ヶ月から9ヶ月に短縮して、兵役義務期間と同じにする。

     憲法上及び国際法上の理由から、一般社会奉仕勤務義務の導入に反対する。

     兵役代替勤務が廃止される場合には、移行期間を導入すべきである。(具体的な期間は提示していない)

     兵役代替勤務の廃止は、特に重度身体障害者のサービス部門で世話の質の低下をもたらす。労働市場からの労働力では完全にはカバーできない。そこで、「世代を超えた任意の社会奉仕勤務」で埋め合わせなければならない。

     できるだけ多くの人が任意の社会奉仕に参加するために、これを魅力的なものにしなければならない。例えば、社会奉仕参加者に対する法定社会保険の完全保護、交通機関の無料乗車、経費補償、追加保険、学生の在籍権付与におけるボーナスポイントなど。この議会任期中にいくつかのモデルを検討すべきである。

     積極的に社会奉仕に参加しない市民は「任意社会奉仕財団」に資金上の寄与をする。

 社会福祉団体は、現在の国の兵役代替勤務補助金(年間約87000万ユーロ)を将来も社会福祉事業に投入するよう要求しているが、委員会は資金調達に関する提案はしていない。

 シュミット連邦家族相はこの報告書を受けて、今年10月から兵役代替勤務期間を兵役期間と同じ9ヶ月にすることを明らかにした。また、兵役義務廃止とそれに伴う兵役代替勤務の廃止については、早くても2005年に政治決定すると語った。移行期間は45年必要で、現在の兵役代替勤務予算の一部を任意の社会奉仕勤務の促進に投入すべきだという見解を示した。兵役代替勤務の廃止は早くても2010年になると見ている。

 現在、約95000人の青年が兵役代替勤務をしており、連邦は今年84300万ユーロを兵役代替勤務に支出する。シュミット家族相は、常勤とパートタイムの従業員、ミニジョブ、世代を超えた任意の社会奉仕勤務者の混合形態で兵役代替勤務を埋め合わせる意向で、任意の社会奉仕年のモデルを構築する計画である。また、任意の社会奉仕勤務を魅力的にするコンセプトを提示するという。社会福祉団体は兵役代替勤務予算を将来も社会福祉領域に全額投入するよう要求しているが、シュミット家族相はこれを拒否した。

 キリスト教民主同盟(CDU)のベーマー氏は、連邦政府は兵役義務廃止についてはっきりした回答をしなければならないと語った。自由民主党(FDP)のレンケ氏は、兵役代替勤務廃止を将来の社会奉仕を新たに構築するためのチャンスと見ており、新たな職場の創出を期待している。

 連邦国防省によると、連立政権は兵役義務については2006年の議会任期終了までに決定する計画で、兵役代替勤務も兵役義務に連結して決定されるという。

 社会福祉団体は、社会福祉サービスの質が低下し、疾病保険金庫や病院、地方自治体のコスト負担が大幅に増加することを懸念している。そこで、ドイツ市町村連盟は連邦政府に対して、地方自治体の追加コスト負担を避けるために、任意の社会奉仕やミニジョブなどによる代替モデルを要求している。

2004120日)

戻る