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子供の貯蓄も親の扶養に充てなければならない

   連邦通常裁判所は114日(水)、成人した子供が親の施設費用の一部を負担しなければならないとする判決を下した。それによると、扶養義務のある人は、夫婦の少ない方の実質所得に基づいて負担コストを算定することはできない。同時に、扶養額の算定では、貯蓄も含めた家族の所得も考慮される。社会福祉事務所は、要介護の親の扶養費を子供の貯蓄からも請求することができる。

 具体的なケースでは、社会福祉事務所が91歳の母親(すでに死亡)の施設費用の一部をその娘(既婚者で、働いている)に請求した。娘は税金クラスVの課税で、月額900ユーロの所得がある。彼女の夫の所得は月額2000ユーロ弱。娘は任意で毎月70ユーロを母親の施設費用として払っていた。それに対して、地方郡の社会福祉事務所は、娘夫婦の所得合計と持ち家を考慮しなければならないとして、月額200ユーロを追加請求した。

 連邦通常裁判所は今回の判決で、地方郡の社会福祉事務所の訴えを認めた。娘の所得が家族の生活費に充てられず、財産形成に用いられる限り、それは「原則的に、扶養目的に使われ得る」という決定を下している。ドイツでは、平均で可処分所得の10%が貯蓄されており、家族の生活費に使われていない。それが自分の老齢年金ないし住宅の返済に使われない限り、要介護の親の扶養から留保してはならず、親の扶養に使われなければならないとしている。

 しかし、連邦通常裁判所は、何を財産形成のために貯蓄してもよいか、どのぐらいの額が家族の生活費に必要かなどの詳細は規定していない。この点については、個別ケースで裁判所が決定しなければならないとしている。

 連邦通常裁判所は過去2年間の判決において、原則的に、扶養義務のある子供に有利に、社会福祉事務所の請求を制限してきた。施設経費や介護経費の一部を要介護者の子供に負担させるという社会福祉事務所の主張に反対していた。

 今回は、91歳の要介護の母親の娘から月々286ユーロの扶養費を社会福祉事務所が請求したケースである。ハム高等裁判所は、共稼ぎ夫婦の所得の大半が家族に必要だとして、娘の扶養経費負担を月々88ユーロに制限する判決を下していた。また、親の扶養義務は子供にあり、その配偶者にはないとして、娘の夫(所得月額2000ユーロ弱)の扶養責任を拒否していた。

 それに対して、連邦通常裁判所はハム高等裁判所の判決を一部取り消した。夫婦はお互いに扶養義務があるので、妻の生計は保証されている。ドイツの貯蓄率は約10%なので、夫婦の所得がすべて生活費に使われるとは考えられない。ハム高等裁判所は娘の所得から家族の生活費に充てられる必要金額を再審査しなければならないとしている。

2004120日)

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