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2003年のインフレ率は過去4年間で最低

   小売業の一部がユーロ導入の際に過度な値上げをしたことから、一般消費者の物価に対する不信が根強く、“Euro”(オイロ)が“Teuro”(トイロ)といわれるようになった。しかし、統計を見ると、ユーロ導入に起因する物価上昇は見られない。

 連邦統計局の最終算定によると、2003年度消費者物価は1,1%ほど上昇した。これは1999年以来最も低い上昇率である。2002年の物価上昇率は1,4%、2001年は2,0%だった。ドイツでは物価が安定していることが明らかである。コンピューター関連製品は20,4%安、家電品は0,7%安、食品は0,1%安、ホテル・飲食・旅館業は0,9%高、石油製品は4,4%高であった。

 他のユーロ圏諸国と比較してもドイツのインフレ率は異例の低さを示している。8月の公式統計では、オーストリアだけがドイツよりも安定した物価水準を保っていた。ユーロ圏の平均物価上昇率はドイツよりも1%ポイント高い。

 ボフィンガー教授によると、低い物価上昇率は労働組合の賃金政策による低い生産単位人件費にも起因している。六大経済研究所の共同経済見通しでは、2003年は生産単位人件費が0,9%上昇したが、2004年は0,1%低下すると予想されている。それに伴って、ドイツの輸出の43%を占めるユーロ圏におけるドイツの競争力が強くなり、ユーロ高の影響が一部相殺される。

 ユーロ圏では、急成長を遂げたアイルランドのインフレ率が最も高い(3,9%)。経済成長率で最下位のドイツはインフレ率でも最も低い。専門家はドイツを「実質切り下げ」と見ている。ドイツマルクは1999年に過大相場でユーロに切り替えられたという。

 しかし、低い物価上昇率により競争力が改善された反面、実質金利がユーロ圏平均よりも約1%ポイント高いため、新しい投資の融資を困難にしている。どちらの要素の方が強く反映するかの判断を巡っては、専門家の間でも意見が分かれている。

2004年1月20日)

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