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ミュンヘンの住民投票、高層ビル反対派が勝利

    ミュンヘン市で11月21日(日)に行われた住民投票で、ミュンヘン市内の建物は100m以下でなければならないことが決定した。投票率は21,9%で(有権者総数917200人)、その内の50,8%(101687人)が「市内では聖母教会よりも低い建物しか建設できない」という提案に賛成した。提案に反対した人は98484人で、3203票の差が明暗を分けた。

 高層ビル反対派は、市内から見渡せるアルプスの展望を妨げる、聖母教会(99mと100m)より高い高層ビルの建設に反対していた。高層ビル反対派の中心はクロナヴィッター前ミュンヘン市長、賛成派はウデ現ミュンヘン市長で、芸能界や経済界の有名人を率いて激しい戦いが展開されていた。

 住民投票の結果、現在進行中の2つの高層ビル建設プロジェクト(ジーメンス社(112mと148m)と南ドイツ新聞社(145m)の高層ビル建設計画)は見直しを余儀なくされる。1967年~1969年に南ドイツ新聞社に勤務していたウデ市長にとって、高層ビル建設プロジェクトの挫折は大きな敗北と見られている。ミュンヘン市議会は旧市街だけに100mの制限を堅持するとして、旧市街以外の地域に計画されていた2つのプロジェクトを承認していた。但し、建設認可はまだ下りていなかった。今回の住民投票により、100mの制限は市内全体に拡大された。

 住民投票の結果は法的には1年間だけ拘束力があるが、ウデ市長も市議会も「道徳的にも政治的にも住民投票の結果を尊重する義務がある」と表明しており、近い将来に100mを超える高層ビルが建設される可能性はないと見られている。ウデ市長は、「ミュンヘンの経済立地にとって大きな痛手である」と語った。それに対してクロナヴィッター氏は、「ミュンヘンの勝利だ」と語った。

2004年11月29日)

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