オバサンの独り言

 第二回OECD学力調査結果(PISA)が発表されてから、ドイツの学校制度 の是非が再び論じられている。今回もトップクラスのフィンランドや初参加で一気にトップクラスに入ったお隣の国オランダを見習えという意見もあれば、ドイツ伝統の学校制度は堅持すべきだという意見もある。

 それぞれの国の歴史的背景や事情が異なるのだから、どの国にも効き目のある「最良の処方箋」などないことは誰も承知している。フィンランドの学校制度を真似すればドイツの子供たちの学力が向上するという保証はないし、そもそもPISAは学力評価方法の一つにすぎないのである。PISAのようなテスト形式に慣れていないドイツの生徒がテストで戸惑ったという話も聞く。

 もちろん、PISAの結果を警告として真摯に受け止めなければならないが、結果だけを見てパニックに陥った政治家たちが 安易に子供たちを実験モルモットにするのだけは御免蒙りたい。結局のところ、他国の良いところを参考にしながら、ドイツ独自の道を模索するしかない。

 ドイツの教育問題は外国人同化問題でもあるところに複雑な事情が ある。履き違えた「皆平等」主義、競争・能力主義アレルギー、一見寛容な多文化主義政策が日本の「ゆとり教育」同様に裏目に出たのがPISAの結果ではないだろうか。

 あるテレビのニュースで、成績が悪いために見習いの職場が見つからない17歳の少年が、「どんな職場を希望しているのか」という質問に対して、「企業コンサルタント」と答えていた。「皆平等、競争・能力主義反対、だけどPISAではトップクラスに入りたい」的考え方に似ていないだろうか。

2004年12月13日)

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