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シュレーダー首相、SPD党首を辞任

 シュレーダー首相は26日(金)、緊急記者会見を開き、社会民主党 SPD の党首を辞任する用意があることを明らかにした。後任者にはミュンテフェリング SPD 党議員団長を推薦するという。また、シュレーダー首相は、ショルツ SPD 幹事長が辞任することも明らかにした。

 これを受けて、SPD 党首脳部は27日(土)、321日の臨時党大会で、ミュンテフェリング氏を党首に、べネター氏(56歳、連邦議会議員。シュレーダー首相の友人で、左派)を幹事長に推薦することを全員一致で決定した。両者は臨時党大会で正式に選出される。

 シュレーダー首相は党首辞任発表を216日の党首脳会議で発表する意向であったが、党内の意見対立が表面化し、州レベルの SPD 党首脳部が公に連邦政府と党首脳を批判するに至ったことから、発表を早めたようだ。今年は「選挙の年」であるが、世論調査では SPD の支持率が低下の一途をたどっており、党員数も急減している。シュレーダー首相の改革政策に対する党内の不満は大きく、改革政策の変更と内閣改造を要求する声が強くなっている。

 シュレーダー首相は2006年の総選挙でも首相に立候補する意向であることを強調し、党首辞任で権威を失うことはないと語った。今後は、国の再生プロセスに全力を投入するという。しかし、首相と党首の両権力を握っていなかったヘルムート・シュミット旧首相(SPD)と同様に、党に権力を奪われたシュレーダー首相の立場が弱くなったのは確実である。

 メルケル CDU 党首はシュレーダー首相の党首辞任発表を「すべての領域における権威損失」と評価して、「シュレーダー首相の党首辞任の日は、同時に、現連立政権とシュレーダー首相の終局の第一歩である」と語った。「党を導けない人は国も導けない」と批判した。ミュンテフェリング党首の手中にあるシュレーダー首相が改革を推進することに懐疑的な見方を示した。自由民主党 FDP のヴェスタヴェレ党首は連邦議会の解散と総選挙を要求した。

 ペータース金属産業労組委員長はシュレーダー首相の党首辞任を「再出発のチャンス」と見ている。緑の党は、連立政権の政策になんらの影響もなく、改革を継続するとして、党首交代をポジティブに受け止めている。SPD 党内では、党勢挽回を図る党首交代を歓迎する声が大半である。

200429日)

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