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ドイツ鉄道の乗客の権利が改善される

    連邦政府とドイツ鉄道は、ドイツ鉄道の乗客の権利改善で合意した。これは今年101日から実施される。メードルン社長が23日(火)に発表したところによると、電車が60分以上遅れた場合、ドイツ鉄道は乗客に乗車券の20%を払い戻す。最低払い戻し額は5ユーロ。また、電車が遅れたために、乗り継ぎの電車に乗れなかった場合なども、乗客は損害賠償請求権を有する。乗車した駅から目的の駅までの全行程に対する遅れに対して、乗客は損害賠償を請求できるという。遅れが60分以内の場合は、従来の規定が適用される(引換券)。24時までに予定通りに旅行を続けられなかった場合には、ドイツ鉄道は宿泊費ないしタクシー代を最高80ユーロ負担する。

 この新しい規定は遠距離交通(遠距離電車)だけに適用される(近距離交通には適用されない。例えばS-バーンの遅れで遠距離電車に乗れなかった場合も損害賠償はない)。法律で規定するのではなく、ドイツ鉄道の普通契約約款に規定され、拘束力がある。また、紛争解決のために、中立な仲裁機関が設置される。

 メードルン社長によると、電車が60分以上遅れる件数は極めて少ないという。遅れた件数の3540%は悪天候や事故(自殺など)に起因する不可抗力事例で、その場合は乗客に損害賠償請求権はない。原則的に、乗客には現金ではなく、1年以内に利用できる引換券で払い戻す。

 キュナスト消費者保護相は、ドイツ鉄道が任意に消費者保護を強化したことを歓迎している。ドイツ鉄道と消費者保護省は乗客の権利改善を巡って交渉してきたが、ドイツ鉄道は損害賠償権の拡大による経費増加を指摘していた。

 乗客連盟「プロ・バーン」は、新しい賠償額は従来の払い戻し額よりも少ないとして、賠償額の引き上げを要求している。これまでの払い戻し額(引換券)は30分以上の遅れが10ユーロ、90分以上の遅れが25ユーロであった。それに対して、新規定では、バーンカード所有者(50%割引)に対する払い戻し額(料金の20%)はこれを大きく下回るという。また、ドイツ交通クラブVCDは、任意による規定ではなく、法律による損害賠償規定を政府に要求している。

200429日)

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