ドイツの主要ニュース

ドイツ語の普及

   ドイツ語は、「難しい、クールじゃない」と評価されており、あまり人気がない。若者はドイツ語よりも英語やフランス語、スペイン語を好んでいる。そこで、ドイツ政府はドイツ語普及のためのキャンペーンを始めた。

 ベッケンバウアー氏は日本のサッカーワールドカップで、ドイツ語ではなく、英語でインタビューに答えていた。ドイツの有名人が公の場でドイツ語ではなく、英語で話すことによる損害は大きいと、アモン教授は語る。日本ナショナルチームのフランス人監督は一貫してフランス語を話していた。言語の普及にはこれが必要なのだという。ドイツ人はこの問題意識を持っていない。たとえ少しであっても、ドイツ語を話すことで、ドイツ語の存在を示すことをアモン教授は勧めている。

 現在、約1億人の人々がドイツ語を母国語として話している。世界の約5000の言語の中でドイツ語は10位。しかし、任意にドイツ語を習う生徒や学生は少ない。2001年のユーロバロメーター・アンケート調査によると、欧州連合では、ドイツ語を母国語とする市民が24%を占め、ドイツ語が最大の母国語であるが、ドイツ語を母国語としない市民の内、ドイツ語を習いたいと思っている人の割合は10%に過ぎない。それに対して、フランス語は約20%、英語は40%である。

 ドイツ統一直後は、特に東欧でドイツ語ブームがあったが、1990年代半ばからドイツ文学科とドイツ語コースの需要が減少している。第二次世界大戦とホロコーストがドイツ語へのネガティブな影響を及ぼしていると見られている。

 現在、世界で約2000万人がドイツ語を勉強している。その内の約4分の1はロシア人。しかし、ロシアでも第一外国語として英語を勉強する若者が増えている。チェコでは人口の8%の人々がドイツ語を勉強しており、スロバキア、ハンガリー、ポーランド、スロベニアがそれに続く。

 それに対して、フランスでは、1990年代以来、ドイツ語への関心が低下している。当時は35%の生徒がドイツ語を勉強していたが、現在は15%に過ぎない。英国では、2001年に高校卒業試験の学科としてドイツ語を選択した生徒は1,1%に過ぎなかった。

 ドイツ語の需要が減少しているにもかかわらず、ドイツの大学で勉強する外国人学生数は倍増している。ドイツ学術交流会DAADによると、英語に対抗するのではなく、英語ができれば、ドイツ語を覚えるのも簡単だとして、ドイツ語の普及を図っているという。世界的に、学術言語では英語が中心であり、フランス語とドイツ語はそれぞれ1%に過ぎない。

200429日)

戻る