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ミュンヘン工科大学、教育ファンドを提供

   ミュンヘン工科大学はドイツ最初の公立大学として、教育ファンド融資を学生に提供する。ファンド会社であるキャリア・コンセプトはこれまでに50万ユーロを個人投資家から集めたという。今年4月から、選抜された学生は生活費として月額最高500ユーロの融資を受けられる。この貸付に対して、学生は、就職した後、所得の一定の割合の額を返済しなければならない。返済額は固定額ではない。また、卒業後に返済するのではなく、就職してから返済する。ミュンヘン工科大学の選抜手続きで合格した学生が教育ファンドに応募できる。

 例えば、学生が8学期の間、月々300ユーロの融資を受けた場合、就職後に、彼の名目上の所得の7%を6年間返済する。ファンドから融資を受けた人は8年間で返済義務を果たさなければならない。

 固定した返済額ではなく、所得に応じた返済額であることから、この教育ファンドは社会的融資モデル、連帯モデルであるという。失業者は返済する必要がなく、高所得者は融資額を上回る金額を返済しなければならない。ミュンヘン工科大学は、融資モデルとしての教育ファンドにより、エリート大学のための前提が創出されると見ている。これまで、多くの優秀な学生が、大学の適正テストに合格しても、ミュンヘンの高い生活費ゆえにミュンヘン工科大学に入学できなかった。ミュンヘン工科大学は、教育ファンド融資により、経済的理由で入学を断念する優秀な学生に入学のチャンスを与えられると期待している。

 キャリア・コンセプトによると、現在、約50人の学生を支援できるが、今年中にファンドが500万ユーロ(学生500人)に増強される見通しである。利回り(7,1%)に加えて、優秀な学生とのコンタクトに魅力があるので、銀行や企業も関心を示しているという。ミュンヘン工科大学入学と高所得の職場への就職という展望がファンドの担保として十分だと評価されている。

 ミュンヘン工科大学卒業生の労働市場におけるチャンスは大きいので、このモデルはミュンヘン工科大学では機能すると見られるが、他の大学では、投資家を見つけるのが難しいかもしれないという。バイエルン州内の他の大学も関心を示しており、ミュンヘン総合大学LMUはファンド融資のアイディアを極めてポジティブに評価している。キャリア・コンセプトは融資対象を自然科学分野の学生だけでなく、人文学科の学生にも広げる計画である。

 これまで、ドイツでは、ヴィースバーデンの私立大学EBSEuropean Business School)とライプチッヒ商業大学HHLがファンドを提供している。両大学でもキャリア・コンセプトがファンド会社である。

2004216日)

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