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若い世代は現在の生活水準を維持できない

   米国のコンサルティング会社Watson Wyatt & Companyの調査結果によると、工業先進国の高齢化は現在の生活水準を維持する上で大きな危険要因になっている。経済成長見通しは年々、継続的に低下していくと予想される。高齢化により、労働力が著しく欠如し、消費者の需要を満たすことができなくなるという。

 高齢者の増加は、老齢年金制度に対する国民経済上のコスト増大をもたらす。従って、カナダやドイツ、スウェーデン、英国のような国々が年金制度の積み立て方式への移行を強化しているのは正しい。但し、専門家は、賦課方式から積み立て方式への移行のテンポが速すぎないよう警告している。積み立てる金額が急激に増加すれば、投資が低下する。その結果、資本利回りが年金制度改革をしない場合よりもさらに低くなるという。

 高齢化対策としては、就業者比率の上昇が挙げられる。これは特に、職業に従事している55歳以上の男女の割合が他の工業先進国よりも低いドイツにとって重要である。ドイツでは、6064歳の年齢層で職業に従事している人の割合は22%弱であるのに対して、米国は47%、スウェーデンは52%、スイスは65%である。ドイツが高齢者の就業率をこの水準に高めれば、今後十年間に懸念されている生産の中断を阻止することができるという。

 人口統計上の問題に対する最良の解決策はない。開発途上国からの労働力の移住、労働力過剰国への資本の輸出などが考えられる。例えば、インドの労働力供給は今後30年間で33500万人も増加すると予想されている。これは米国とEUの現在の就業人口を上回っている。

 工業先進国の人口統計上の問題は出生率の低下と平均寿命の上昇に起因している。人口を維持するためには、出産能力のある女性一人当たり2,1人の子供が必要である。スペインとイタリアの出生率は1,2以下、ドイツは1950年の2,16から2000年は1,29に低下した。ドイツは、人口縮小の準備をしなければならない国に属している。

2004216日)

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