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連邦内閣、不正労働取締り法案を決定

   連邦内閣は218日(水)、連邦財務省が修正した不正労働取締り法案を閣議決定した。この法案は、脱税と社会保険料未納に対する処罰を厳しくして、不正労働を撲滅することを目指している。特に組織犯罪の取り締まり強化が目的である。(2004115日の主要ニュースを参照)

 連邦財務省によると、不正労働取締りは特に営業領域における不正労働(建設現場やタクシー会社、飲食店、ホテル、清掃会社、ゲームセンターなど)に適用される。「持続的に利益を追求する行為」ではなく、報酬が少ないという条件下の労働(近隣間の相互扶助、ベビーシッターなど)は不正労働ではなく、新しい不正労働取締り規則から除外される。

 例えば、16歳の生徒が時々勉強を教えてお金をもらうのは不正労働ではなく、申告する義務もないが、教師が終業後に家庭教師として報酬を受ける場合には申告して税金と社会保険料を払わなければならない。近所の人が引越しの手伝いをして多少の報酬をもらうのは不正労働ではないが、広告を出して、毎週定期的に引越し手伝いをして報酬を受ける場合には、申告しなければならない。時々少ない報酬で労働することは認められるが、継続的な労働はミニジョブとして申告し、税金と社会保険料を納入しなければならない。

 個人世帯が家政婦の雇用を申告せず、税金と社会保険料を納入しない場合は、犯罪ではなく、秩序違反行為とみなされる。その家政婦が申告せず、脱税している場合も同様である。この場合の脱税や社会保険料未納は犯罪行為として訴追されず、過料を科せられる。

 営業領域における取締りの管轄官庁は税関であるが、個人世帯領域の秩序違反行為取り締まりの管轄官庁は市町村の公安局である。

 アイヒェル連邦財務相は、不正労働取締り強化により、年間約10億ユーロの追加収入を見込んでいる。キリスト教民主同盟/社会同盟は、特に組織的な不正労働を厳しく取り締まらなければならないとして、この法案に同意することを示唆している。

2004223日)

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