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ドイツ経済の衰退と生活水準の低下

   英国の経済誌「エコノミスト」によると、ドイツの国民一人当たり所得(実質国内総生産)は2003年に初めて、欧州連合の平均を1%ほど下回った。ドイツ経済力の衰退は「非常事態だ」と評価している。2002年はランキングの真ん中に位置していた。

 EU 統計局 Eurosta によると、ドイツの国民一人当たり所得は80年代末には EU 平均を約20%上回っていた。ところが、今では、ドイツよりも低いのは15カ国中 4カ国(スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシャ)だけになってしまった。長い間、西欧の貧乏国だったアイルランドは1995年には EU 平均を10%も下回っていたが、2002年は25%も上回り、急成長を示した。英国は1995年がちょうど EU 平均だったが、2002年は7%上回った。フランスは水準を維持している。

 ドイツ経済力の衰退は一部、ドイツ統一に起因している。旧東独の比較的低い生活水準ゆえに、ドイツの一人当たり所得は1990年に一挙に大きく低下したが、まだ EU 平均を9%ほど上回っていた。

 エコノミスト誌によると、ドイツは EU 経済の悪いイメージの原因になっているという。他の EU 諸国は米国同様、ないしそれ以上のダイナミックな成長を見せている。ドイツを除く EU 諸国の国内総生産は過去10年間に年間2,3%成長した。これは米国の平均を上回っている。

 エコノミスト誌は、ドイツが賃金付随コストを削減し、租税負担を軽減しなければならないと指摘している。また、「過度に気前のよい福祉国家」のスリム化を提案している。

 ドイツ経済の改善への転機はまだ見られない。むしろ、状況の悪化が懸念される。一つだけ僅かな慰めがある。EU 東方拡大により、今年5月にドイツよりも貧しい 9カ国が EU に加盟する。その結果、ドイツは国内総生産ランキングで再び上昇し、平均を上回る。

2004223日)

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