オバサンの独り言 今回も連邦大統領候補者選びが混乱し、連日、マスコミが騒ぎ立てていた。ようやく、キリスト教民主同盟 CDU、キリスト教社会同盟 CSU、自由民主党 FDP の野党3党が共同の候補者で合意したが、なんとも後味の悪い妥協であった。 前回総選挙で得票率が7,4%に過ぎなかった小党 FDP が次期連邦大統領選出の決定権を握っているということ自体が民主政治の皮肉である。党間、そして党内の権力争い、戦略的な人選。候補者に選ばれたケーラー氏は国際金融市場では著名だが、国内での知名度は低い経済官僚。国民の90%以上がケーラー氏を知らないといわれる。 これでは、連邦大統領が単なる権力争いの道具に使われているという印象を国民がもっても仕方があるまい。ドイツを代表する最高職である連邦大統領の尊厳が著しく損なわれたのは確実だ。 ドイツの連邦大統領候補者選びを見ていて興味深いのは、勝ち目のない党が女性の候補者を立てることだ。前回も今回も勝ち目のない党が「ドイツ最初の女性大統領を!」とばかりに、声高々に女性候補者を立てている。勝ち目があるときは「男」だけれど、勝ち目がないときは「女」。女性候補者は男女平等原則の口実でしかない。21世紀の今も、相変わらず、女性は政治権力争いにうまく利用されているわけだ。 しかし、2006年には女性の連邦首相がドイツにも誕生するかもしれない。いや、女性党首は野党時代だけで、政権奪回が確実になってきたら、「やっぱり男にしよう」ということになるのがオチか。 (2004年3月8日)
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