ドイツの主要ニュース

CDU/CSU、改革コンセプトで合意

 キリスト教民主同盟 CDU と社会同盟 CSU 38日(月)、労働市場改革及び税制改革の共同コンセプトを発表した。党内及び党間の意見調整が難航し、原案をかなり修正した共同コンセプトとなった。抜本的な労働市場改革に大きなブレーキがかかったほか、メルツ氏(CDU)が提案した税制改革案とはかなりかけ離れたものになった。しかし、メルケル CDU 党首とシュトイバー CSU 党首は、政権交代に向けて連邦政府に対するコントラストを明示したと満足感を示した。(2003128日と2004112日の主要ニュースを参照)

 主な内容は次の通りである。

     租税制度を二段階で改革する。第一段階では、所得税率を12%~36%(課税対象になる年間所得45000ユーロ以上)に引き下げる。短期的には従来の直線的累進課税方式を適用するが、長期的には段階方式(メルツ氏のモデル:12%、24%、36%)に切り替える。第一段階での減税規模は107億ユーロ。政権交代(2006年秋)の1年後(200811日)に第二段階に切り替える。一人当たり8000ユーロの基礎控除(子供にも適用)、被用者一人当たり840ユーロの被用者控除が適用される。

     減税の財源を確保するために、税制上の優遇措置を削減・廃止する。日曜祭日特別手当ては2010年から課税される。通勤交通費の控除は50kmまでに適用され、30セントから25セントに削減される。

     分割課税(夫婦に対する所得課税の方法)は廃止しない。

     営業税を廃止する。その代わりに、所得税と法人税における地方自治体の配分比率を引き上げる。

     使用者は、長期失業者を採用する場合、最初の1年間は労働協約賃金以下の賃金で雇用できる。

     50歳以上の失業者は、新規採用の際に使用者と退職金で合意している場合には、解雇保護を適用されない。原案の「新規採用者には、原則的に、最初の4年間は解雇保護規定が適用されない」という項目は完全に削除された。但し、期限付き労働契約は4年間まで可能とする(現在、理由なしの期限付き労働契約は2年まで可能。起業家の場合は例外で4年)。また、最初の月の失業手当を25%削減するという原案も削除された。

     パートタイム勤務の要求は、子供を養育する被雇用者と家族の介護をする被雇用者に制限される。パートタイム・期限法は従業員20人以上の企業に制限される。

     失業保険料率を現在の6,5%から5%に引き下げるために、連邦雇用エージェンシーの任務を制限する。

     日曜日を除き、月曜日~土曜日の閉店時間の制限をなくす。

 経済界はこの共同コンセプトを「不十分な改革」と批判的に評価している。ドイツ工業連盟は税制改革コンセプトを歓迎する一方で、抜本的改革がようやく第二段階で実施されることに不満を示した。専門家は、解雇保護規定の緩和幅が雇用創出には十分でないと、懐疑的な見方をしている。銀行連盟は、税制改革コンセプトは勇気が足りなく、主要テーマで明確性に欠けると批判した。

 一方、連邦政府と労働組合は「社会的国家に対するテロ行為」と、厳しく批判した。アイヒェル連邦財務相は、税制改革コンセプトは十分な財源がなく、社会的に不公平であると語った。クレメント連邦経済相もコンセプトは具体的でなく、財源がないと批判した。

 連邦政府は、利子・配当・売却益に対する統一課税を計画していたが、CDU/CSU 共同コンセプトが資本収益に対する課税を提示していないことから、アイヒェル連邦財務相は連邦参議院での同意を得る可能性のない法案を連邦議会に提出しないことを明らかにした。

2004315日)

戻る