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連邦内閣、保安監置法案を決定

   連邦内閣はツィプリス連邦法務相が提出した保安監置法案を閣議決定した。同法案によると、釈放が公衆にとって重大な危険になる場合には、その犯罪者が刑に服した後も拘置することができる。保安監置には期間の制限がない。

 2002年に現政権が改正した刑法典第66条とは異なり、新しい法案では、保安監置が裁判の判決で決定されていなかった、あるいは少なくとも留保されていなかった場合でも、判決後に犯罪者の重大な危険性が確認された場合には、公衆を危険な犯罪者から保護するために、犯罪者を保安監置処分にすることができる。但し、これは財産犯罪には適用されず、被害者に肉体的、心的に重い害を与えた犯罪者に適用される。

 また、初犯者でも、最低4年の拘留罰で刑務所に収容されている限りにおいて、事後保安監置を科すことができる。さらに、18歳~21歳の若い犯罪者に対しても、刑法上成人と取り扱われる限りにおいて、保安監置を科すことができる。

 ツィプリス連邦法務相は、事後保安監置は特に重度の命令であり、3人の職業裁判官が2つの鑑定書に基づいて、公判でのみ命令することができると語った。また、この決定は2年ごとに審査されるという。現在、ドイツには、事後保安監置処分を受けている犯罪者は4人いる。

 連邦憲法裁判所は今年2月、危険な犯罪者の無期留置は州ではなく、連邦に立法権があるとして、いくつかの連邦州(バイエルン州、バーデン・ヴュルテンベルク州など)の警察法上の規定は憲法違反であるという判決を下していた。

 これを受けて、危険な犯罪者(特に性犯罪者)を釈放しないために、連邦政府は緊急に法律の制定を迫られた。ドイブラー・グメリン前連邦法務相(SPD)が保安監置に関する広範な新規定の制定を拒否して、州政府にその立法を命じたことから、州政府は「正当防衛」として、保安監置規定を制定していた。連邦憲法裁判所は、今年930日までを移行期間とし、それまでは州政府の現行法律の適用を認めた。

 キリスト教民主同盟/社会同盟は、ツィプリス連邦法務相の法案は CDU/CSU の考え方と 90%まで一致していると評価している。事後保安監置に至る法的手続きに関する詳細については、まだ見解の相違があるようだ。緑の党は1821歳の若い犯罪者に対する保安監置処分に反対している。

 閣議決定した法案は専門家公聴会で審議される。ツィプリス連邦法務相は夏休み前に連邦議会と連邦参議院に法案を提出し、930日に発効させる計画である。法案は連邦参議院の同意を必要としない。

2004315日)

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