ドイツの主要ニュース

評判ほどでないデュアルシステム

    ドイツが誇る職業教育制度「デュアルシステム」は国際的にも高く評価されてきたが、専門家は、職業教育で経済界と国が協力する複線システムを「改革の必要あり」と評価している。

 企業など現場での実地訓練は一見、デュアルシステムの利点と見えるが、実は、不況の時代には欠点になることが明らかになっている。不況下では、多くの企業は職業訓練生に自社が必要としていること以上の教育をする用意がない。

 しかし、経済危機の時代でなくてもデュアルシステムの問題が表面化している。ハレ大学の経営学者ベッカー氏によると、3年間の職業訓練を受けた見習い生はその職業訓練にかかった費用以上のものを企業にもたらしたので、企業はデュアルシステムの恩恵を受けることができた。この古い職業訓練期間は長すぎるが、経済界は賃金ダンピングの理由からこれを固持している。

 オーストリアやオランダのデュアルシステムと比較すると、ドイツのデュアルシステムは柔軟性に欠けることが明らかである。ミュンヘンの経済教育学者ガイスラー氏によると、業界団体、連邦政府、州政府が口出しをするので、新しい職業訓練コース(情報科学やサービスなど)が成立するまでに時間がかかりすぎる。また、職業訓練生が並行して大学の勉強をすることが困難である。しかも、専門単科大学や職業アカデミーには、専門工(Facharbeiter)のための短縮された専門コースがない。

 ハレ大学の社会学者ルツ氏は、企業が大卒者を採用する傾向が強まっているため、デュアルシステムが一種の「学校の落ちこぼれのための救済制度」になることを懸念している。

 ドイツでは、終身雇用がなくなった。多くの被用者は職業を換え、再教育や継続教育を受けなければならない。その理由からも、職業学校で「自動車機械工」や「小売商人」の理論を学んでもあまり意味がないという。ガイスラー氏は、デュアルシステムを改革して、フレキシブルなコースを提供する職業学校を構築することを提唱している。

200445日)

戻る