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ヴェルテケ連邦銀行総裁、辞任

 高級ホテル宿泊代を民間銀行に肩代わりさせたことが発覚して休職中のヴェルテケ連邦銀行総裁が416日(金)に辞任した。辞任に際して、ヴェルテケ総裁は、理事会が政治の圧力を受け、ドイツ連邦銀行の独立性が損なわれたとして、連邦政府を批判した。

 ヴェルテケ夫妻がモンテカルロのF1レース観戦にBMW社から招待され、BMW社がそのVIPチケット代と豪華ヨットの宿泊代を負担していたことも発覚したことが決定的打撃になったようだ。高級ホテル宿泊代肩代わり(2001/2002年)の場合とは異なって、ヴェルテケ総裁はこの時点(2003年春)ではすでに欧州中央銀行の行動規範を義務付けられていたため(2002年半ばから)、そのような招待を受けることを禁止されていた。

 ドイツ連邦銀行理事会と連邦財務省は、ヴェルテケ総裁の辞任は「適切な決定」であり、決定を「尊重する」と発表した。ヴェルテケ総裁の辞任は一般に、「正しい、不可欠な決定」と評価されている。

 ヴェルテケ総裁の後任者としては、シュタルク副総裁、コッホ・ヴェーザー財務省事務次官、タッケ経済省事務次官(SPD)などの名前が挙がっているが、タッケ事務次官が最有力視されている。キリスト教民主同盟(CDU)と社会同盟(CSU)はシュタルク副総裁を押しているが、シュタルク氏が CDU 寄りであるため、チャンスは少ないと見られている。

 また、コッホ・ヴェーザー氏は金準備の一部売却との関連で、野党の批判を受けているうえ(金準備の一部売却を望む財務省と政府がそれに反対するヴェルテケ総裁の辞任を企てたという批判)、連邦銀行と金融界の支持を得ていないことから、シュレーダー首相とアイヒェル財務相はタッケ経済省事務次官を推薦するのではないかと推測されている。連邦政府は連邦銀行理事会の了解のものに総裁候補者を提案することができる。野党は連邦政府の政治的決定を牽制している。

2004419日)

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