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連邦憲法裁判所、環境税は合憲

 連邦憲法裁判所は420日(火)、製造業対象の例外規定を伴う環境税は基本法に違反していないとする判決を下した。エネルギー集約的製造業者を租税上優遇することは合憲である。また、環境税を年金保険に充てて、年金保険料を引き下げるという目的も基本法に違反していないとしている。

 運送業者と保冷倉庫業者は1999年に導入された環境税で不利に扱われているとして訴えていたが、連邦憲法裁判所はこの訴えを棄却した。判決によると、ドイツ経済立地を確保するために、租税上の優遇措置で製造業者を(電力税と石油税の引き上げによる)競争上の不利から守ることは立法者に禁じられておらず、経済的に重要な利益の保護を優先することは認められる。工業はサービス業よりも厳しい国際競争に立たされており、環境税における優遇は経済誘導措置として適法である。環境税改革の枠内で引き上げられた電力税と石油税は企業の所有権の保証も職業の自由の基本権も侵害していない。1999年に導入された環境税は恣意的に特定の経済部門を不平等に扱っていないとしている。

 連邦政府は、エネルギー消費を誘導し、雇用を創出し、年金保険料を引き下げるという環境税政策が認められたとして、この判決を歓迎している。連邦財務省のヘンドリクス政務次官は意図的な誘導効果が認められたことを歓迎する一方で、「今のところ環境税引き上げは計画していない」と語った。クレメント連邦経済相は、ドイツ工業立地のために製造業者を優遇する差別化という立法者の形成の自由が認められたと評価している。トリティン環境相は、環境税は効果的かつ有意義な手段であり、環境と雇用が同様にその恩恵を受けていると強調した。

 それに対して、自由民主党のゾルムス財政担当スポークスマンは、環境税はドイツ経済の競争力を悪化させ、失業率上昇を引き起こしていると批判した。ドイツ商工会議所連合会は、競争上の不平等を指摘して、裁判所が立法者に税負担軽減規定の変更を強制しなかったことを批判している。運送業者の団体は、製造業者だけでなく運送業者も国際競争に立たされている事実が無視されたと厳しく批判した。今回の判決により、今後5年間で12万台のトラックと18万人の職場が失われることを懸念している。

2004426日)

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