ドイツの主要ニュース

ドイツの技術者不足

   ドイツ技術者協会(VDI)によると、現在、最低15000人の技術者が不足している。技術者1人の職場には1,8人の研究開発関連の職場が付随していること、技術者はその購買力により他の職場も創出していることを考慮すると、ドイツ国民経済は技術者不足により5万人の職場を失っていることになる。これは26億ユーロの付加価値損失に相当し、年間経済成長を0,12ポイント低下させる。

 加工業者の50%以上とサービス業者の40%以上は、技術者不足が最も重要な技術革新抑制要因になっていると見ている。これまでは、資金調達源の不足が最大の問題であった。プログノス市場調査会社の調査結果によると、ドイツにおける技術革新的な企業は1999年~2002年の期間に10%ほど減少した。1999年は企業の約67%が技術革新的であったが、2002年は58%に低下している。3年間に最低一つの技術革新プロジェクトに成功している企業が技術革新的と定義される。現在、研究集約的製品では輸入が輸出を上回っていることも大きな懸念材料である。

 ドイツ労働市場は魅力的でないため、不足する技術者を外国人で補うのは難しい。外国人技術者の妻は労働許可を得られず、子供のドイツ教育制度への同化が容易でない。また、ドイツ語が堪能な外国人技術者が少ない。そこで、若者の技術への関心を高めることが必要であるという。

 ドイツ機械工業連盟(VDMA)によると、今後、多くの企業が技術者獲得競争を余儀なくされるため、小規模企業には不利になることが懸念される。短期的には、失業している比較的高齢な技術者の労働力を再び活性化させることでしか技術者不足に対処することができないという。

 現在失業中の技術者は6万人で、その内の3万人が50歳以上である。これらの技術者を再び生産プロセスに投入することを VDMA は提案している。彼らの専門知識は必ずしも最新の水準にはないが、職業経験が豊富である。複雑な交渉では専門知識よりも豊富な職業経験の方が重要になるという。但し、失業中の技術者もフレキシブルでなければならない。例えば、再就職には引越しが伴うことが多いが、50歳以上の技術者は引越しを躊躇する傾向にある。

2004426日)

戻る