オバサンの独り言

 財政難のミュンヘン市はパーク・アンド・ライドの駐車場の有料化を進めている。近くの地下鉄駅の駐車場も4月26日から有料になった。駐車料金は一日50セント。以前は、朝の9時前に行かないと、ほとんどチャンスがなかったが、4月26日からはいつでも駐車できるようになった。

 その代わり、周辺の住宅地の道路は路上駐車する車でいっぱい。住民はさぞや迷惑していることだろう。市内中心部の駐車場に比べて、1日50セントという駐車料金は決して高くないと思うのだが、やはり、無料から有料へのハードルは高いようだ。

 そういえば、今年1月から導入された初診料にも同じような傾向が見られる。有料になってから、医者に行く人が減っているという。18歳以下の子供は今でも無料なのに、情報不足のせいか、小児科へ行く子供も減っていると聞く。庶民のパニック的反応か。

 また、ユーロが導入されたとき、あちこちで便乗値上げがあり、レストランや喫茶店の値段も一気に上昇した。外食する人が減ったらしいが、これも同じ現象だろう。

 不況が長引くドイツの消費者は財布の口を締めるようになった。なにしろ、「・・・改革」のオンパレードで、庶民の実質収入は減るばかり。しかも、老後の備えも怪しくなってきた。次の「・・・改革」がいつ出てくるかわからない。「一寸先は闇」なのだ。

 だから、将来に不安を感じる消費者は敏感に反応するようになった。たかが50セントと侮るなかれ。この50セントには庶民の静かな抵抗が秘められているのだから。

 さて、庶民の50セントの抵抗はいつまで続くだろうか。私はその行方を興味深く見守っている。

200453日)

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