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連邦議会、職業訓練公課法案を可決

 連邦議会は5月7日(金)、職業訓練公課法案を可決した。経済界と野党だけでなく、与党内部でも反対があったが、記名投票の結果は賛成300票、反対284票だった。この法律は、職業訓練の職場を探す若者全員に職場を提供することを目的としている。(2003年11月17日の主要ニュースを参照)

 同法案によると、9月30日までに職業訓練生の求人数が職場を探す若者の求職数を少なくとも15%上回らない場合には、法律が発効する。経済界、労働組合、国が拘束力をもつ職業訓練協定を締結した場合には、この法律は適用されない。

 法律が発効した場合、社会保険義務のある従業員が10人以上の企業は、職業訓練生の割合が従業員総数の7%以下の場合には、基金に賦課金を払わなければならない。基金にプールされた賦課金は他の企業の職業訓練生養成の助成に使われる。また、この比率以上に職業訓練生を受け入れる企業は助成金を受ける。

 支払不能の危機にある企業や財政赤字を抱える地方自治体、病院、介護施設、学校などは賦課金を免除される。法律の実施と賦課金の管理は連邦行政局の管轄とする。数百人の職員が新たに必要になると推定されている。

 ブルマーン教育相は、拘束力をもつ職業訓練協定により、この法律が不要になることを望んでいるとして、使用者に職業訓練協定の実行を求めた。連邦政府は、労使が職業訓練協定の交渉を開始するよう呼びかけている。同法に反対しているクレメント経済相も、職業訓練協定でこの法律を不要にするよう、経済界に要請した。

 それに対して、経済界は、政府が法律を断念するのであれば、職業訓練協定を結ぶ用意があるとしていた。政府は「脅迫、強制、官僚主義」に賭けているが、企業は職業訓練公課法を拒否すると明言している。野党は、政府自らが「この法律は発効すべきではない」と言っている法案を可決するのは「不条理演劇だ」と批判した。賦課金は非建設的であり、新しい職業訓練職場を創出する手段ではないと見ている。また、職業訓練生の養成の方が賦課金よりも高ければ、賦課金を払って、職業訓練から撤退する企業が増えることを懸念している。

 経済界は、この法案が連邦参議院で否決されることを期待しているが、同法案は連邦参議院の同意を必要としない。しかし、SPD の州であるノルドライン・ヴェストファーレンとラインランド・プファルツが CDU/CSU/FDP の州と共に異議申し立てをすれば、3分の2の多数で法案の成立を阻止することができる。しかし、政府は SPD の州が反対することはないとの見方をしている。

20045月10日)

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