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連邦議会、不正労働取り締まり案を可決

   連邦議会は5月6日(木)、不正労働取り締まり法案を可決した。野党は同法案に反対した。同法案は特に、組織犯罪としての不正労働とそれに伴う脱税を阻止することを目的としている。専門家は不正労働による「闇経済」の規模を年間約3700億ユーロと推定している。これは国内総生産の約16%に相当する。同法案は連邦参議院の同意を必要とする。(2004年1月5日と2月23日の主要ニュースを参照)

 連邦議会の財政委員会は採決の前日にアイヒェル連邦財務相の法案を変更して、交通違反過料リストを模範にした不正労働過料リストを作成することを決定した。不正労働過料リストの対象になるのは秩序違反行為(軽い違反)であって、犯罪ではない。個人の雇用者が不正に清掃婦やベビーシッターを雇った場合に払わなければならない過料の額が規定される。また、ミニジョブの不申請は犯罪ではなく、秩序違反行為として扱われる。

 財政委員会は、アイヒェル財務相が計画していた社会保険証明書の廃止を取りやめることも決定した。偽造できず、多くの情報をメモリーできる電子ジョブカードが導入されるまで、従来の社会保険証明書が引き続き利用される。

 アイヒェル財務相は野党に対して、連邦参議院で不正労働取り締まり法案に同意するよう呼びかけた。政党を超えて、「正直者が馬鹿を見る」ことがないようにしなければならないとして、特に企業の不正労働を厳しく取り締まることを強調した。アイヒェル財務相は同法により、10億ユーロの追加収入を見込んでいる。

 それに対して、野党は、法案は不正労働の原因を撲滅することはできず、かえって高い税金で闇経済を促しているとして、政府を批判した。不正労働撲滅には賛成するものの、法案のコントロールでは不正労働を阻止することはできないと批判的に見ている。

20045月10日)

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