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連邦集会、ケーラー氏を連邦大統領に選出

 連邦集会は5月23日(日)、前国際通貨基金専務理事のホルスト・ケーラー氏(61歳)を連邦大統領に選出した。ケーラー氏は野党のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)の統一候補者で、第一回目の投票で過半数を1票だけ上回る604票を獲得して当選した(50,16%)。CDU/CSU と FDP の選挙人は622人であることから、18人がケーラー氏に投票しなかったことになる。(2004年3月8日の主要ニュースを参照)

 与党(社会民主党 SPD と緑の党)の統一候補者であるゲズィーネ・シュヴァン女史(61歳、欧州大学学長で、政治学者)の得票数は589票だった。SPD と緑の党、民主社会党 PDS の投票数よりも10票多かったことになる。投票総数は1204票、そのうち棄権が9票、無効が2票だった。

 ケーラー氏は7月1日に連邦議会と連邦参議院の共同会議で宣誓して、連邦大統領に就任する。ケーラー氏はドイツ連邦共和国第9代大統領で、CDUの大統領としては5人目である。連邦大統領の任期は5年で、連続再選は1回だけ認められる。任務は主に国の代表の機能に関わる。

 経済学を学んだケーラー氏は1976年に官吏になり、1992年までコール政権の連邦財務省事務次官であった。2000年3月に国際通貨基金の専務理事に就任した。1981年以来 CDU 党員。但し、連邦大統領任期中は政党への所属を停止しなければならない。職業政治家でなかった連邦大統領はケーラー氏が初めてである。

 CDU/CSU と FDP はケーラー氏の連邦大統領選出を政権交代へのシグナルとして評価している。ケーラー氏の選出はメルケルCDU党首の党内での権限を強化したと見られており、メルケル党首が次の連邦首相候補者になる公算が大きくなった。

 ケーラー氏の当選後の演説は、野党だけでなく、与党、経済界、労働組合など各方面でポジティブに評価された。

20045月24日)

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